真夜中の生存遊技(2)

arasuji

真夜中に開催される子供達だけのサバイバルゲーム。優勝者は望みが叶うと言われている。教師の家に生まれたシアンは、ある日、招待状を受け取った。

(第3回Text-Revolutions Webカタログより転載)

※過去の感想はこちら
真夜中の生存遊技


kansou
シリアスな現代ファンタジー。理想郷とも呼ばれる、「争い」のない平穏な国。けれどもそれは世襲によって職や結婚まで決まる、自由を制限される場所だった。教師の家に生まれたシアンは、ある日「真夜中の生存遊技」への招待状を受け取る。子どもたちだけのサバイバルゲーム。その最終生存者には「夢を叶える」権利が与えられるというが――。
「分相応」な生き方を運命づけられている少年の成長物語。頭が良いことすら誇れず日々を過ごす彼が、真夜中のゲームの裏で繰り広げられる謎に近づくことで自分の思いと向き合うようになります。運命に抗いたい彼の心情、少しずつ浮き彫りになる鬱屈した世界観が魅力的です。ぐいぐいと物語に引き込まれていきます。
また幼馴染みのアイゼ、「外人」として生きていくことを余儀なくされているラーズとの間で繰り広げられる三角関係にも注目して欲しいですね。家族に、シアンに、外国人たちに対して真っ直ぐな気持ちを向けるアイゼ。思わせぶりな態度を取りながらも辛そうな顔を見せるラーゼ。二人とのやりとりを通して変化するシアンの心境が丁寧に描かれています。シビアな世界の中でそれぞれが下した決断には少し胸が痛くなりました。 徐々に明かされていく真相、その結末をぜひその目で確かめてもらいたい作品です。

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発行:HPJ製作工房
判型:新書版 154P
頒布価格:300円
サイトHPJ製作工房
レビュワー:藍間真珠

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