ブラッドパレード


人にあらざる「能力」を駆使し、超常的な現象を操る「能力者」たち。彼らが寄り集まる半見ヶ丘市の学園に所属する弥生、明、康介の3名は腐れ縁的連帯感と背骨を作る使命感で能力者たちが引き起こす事件を解決する治安部隊にも所属していた。時々行き過ぎる弥生の正義感のおかげさまで謹慎をくらった夜、治安部隊として自主的に出動した現場で康介の中に潜む何かが動き出す……

 疾走感溢れる青春+学園+アクション。 あらすじが書きにくい(笑)。ネタバレは勿論出来ないし、世界観や用語の説明を始めるとえらく長くなってしまう。
 漫画でいうところのバトル物であることは確かだけど、学園ものとしての体裁もかなり強い。能力者の説明や言い回し、舞台回しは漫画的と表現したいくらいスピード感と「それっぽさ」があって、設定などは少しHUNTER×HUNTERみたいだなと思いつつ、あっという間に読み上げてしまった。

 単独作者なのかユニット創作なのか分からないのだけど、後書きで本人達も言っている通り、確かに中2的ではある(中2病が分からない人は適当に調べてみてくださいな)。《極東より飛来する砂刃》で〈ファーイースト・ブレイダー〉とか、《引力に翻弄される林檎》で〈ウェイト・ウェイター〉とか、技や能力タイプの振り仮名見るだけでわくわくするでしょ? この辺の雰囲気が好きな人に絶対オススメ。
 物語はかなり展開が早い。読み終わってあらすじを整理してみたが、ほんとにこれよく1冊に納めたなぁ。いろんなところの肉そぎが上手いんだと思う。
 ライトノベルといえばそうなのかなと思うが、ちゃんと世界観の中できちんと説明と展開が出来ているのだから一貫している。

  キャラクターはやや多めだが、能力タイプとの関連で印象が強い。まだ続巻が出るようなので、期待しつつ待ち。


発行:赤塚書房
判型:文庫版 
頒布価格:500円
サイト:赤塚書房

レビュワー:小泉哉女

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