超絶変身ユカリオン1&2(3)


1巻:
六年前の火事で母親を亡くした少女、由香利。
十二歳の誕生日前夜、宇宙侵略者Dr.チートンが作り出した化け物、異次元モンスターに襲われる。
絶体絶命の由香利を助けたのは、幾度と無く夢で現れた緑色の宝石、リオンクリスタル・アルファの力だった。

2巻:
人間の生体エナジーを奪う「異次元モンスター」と戦う毎日の中、学校ではいじめられっ子の少年「優人」と仲良くなる由香利。
そんな中、かまいたちを操る謎の敵「ロスト・ワン」がユカリオンの前に立ちはばかる。
完結巻。

※公式サイトより

※過去の作品はこちら
 超絶変身ユカリオン1&2(1)
 超絶変身ユカリオン1(2)

ヒロイン☆ふぇすた!参加作品

sanka

『超絶変身ユカリオン』
家族の絆の温かさを強く感じる、よいバトルヒロインものでした…!すごく読みやすいけど、読みごたえはしっかり。児童文学のよさがありますが、大人もばっちり楽しめる一作です。

変身のギミックがしっかりしてて硬派なのも素敵でした。闘う理由はシンプルかつ強靭、ギミックは細やか。販促もやらしい萌えも気にしなくて読めるバトルヒロインものいいね…。

個人的な話になりますが、バトルヒロインものに触れるとどうしても、闘わなければならないヒロインの運命が辛すぎて時々鬱になります。でもこの『ユカリオン』では、やはりメインで闘うのはヒロイン・由香利ちゃんですが、彼女をひとりきりにせず背中を守る、父・重三郎さんと同居のお兄さん・早田さんもまたかっこいいです。由香利ちゃんが「ひとりじゃないんだ…!」と心強く思って闘いに望む姿に、胸を打たれます。 

『超絶変身ユカリオン2』
1での激闘を経て再び異次元モンスターとの闘いに身を投じるユカリオンを描く2は、更にスケールアップ。
闘うことと家族の絆にメインをおかれた前作から、ヒロイン自身の成長が清濁あわせてがっちり描かれています。

新たな敵、そして同級生・優人くんとのふれあい。学校と家庭で“ある立場”におかれている優人くん由香利ちゃんの、時にあたたかく、時に苦しく織り成される心の交流。いや…もう本当に由香利ちゃんと優人くん(特に優人くん)を取り巻く環境が辛すぎて…中盤はすごく沈みました。でも現実にはあり得る、目を背けられない生々しさがあります。

その中盤の重い展開も、終盤に昇華されるのがすばらしいです。自分の、そして優人くんの辛い体験にきちんと向き合って、自らの糧とし闘う由香利ちゃんの力強さにただただ励まされます。

爽快な中に、少し苦味の残るラストをぜひ体感してください。成長したふたりの物語も読みたいなぁ。


発行:またまたご冗談を!
判型:新書版(1巻/92p 2巻/132p) 
頒布価格:1巻/200円 2巻/300円
サイト:またまたご冗談を!
レビュワー:世津路 章