六文銭を届けて 上


死んだ後、霊となって存在でき、四十九日の法要をしてくれた人に「なにかを与える」か「なにかを持ち去る」事ができる。そんな世界。
某かの理由で死んでしまった小日向青葉は、同姓であったが想い人だった巴みずなの元に現れ、四十九日の法要を頼む。その裏には、自分の想いを彼女に「与え」ようという思いがあった。だが、その感情は日が経つに連れ徐々に変わっていく。

sanka

 精神的な面を重視した百合モノというのは好きですね。
 届かない想いを届けたい、という気持ち。それを100%完全に達成できる手段というのが、描かれている独特の世界観から来るもの、死ぬ事。ここで発生する矛盾、気持ちを通じ合いたいのに、それが達成できる時には自分はいない。そこから揺らぐ心模様。これを中心に置いており、丁寧に書かれている事に好感が持てました。
 また、世界観が現実世界ではないのですが、それについての説明をせず、話の流れで「そういう世界なんだ」と思わせるトコロは筆力として良いです。


発行:蕪研究所
判型:文庫(A6) 120P
頒布価格:100円
サイト:蕪Log
レビュワー:匿名志望

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