arasuji
蓮実 輪
1962-2055

「男なんて、あなたに比べたら」
誰かと生きてゆくこと、名づけられない関係を結ぶこと……
「好き」という感情だけのつながりは、何故こんなにも儚いのだろう?
幼稚舎から大学まで一貫の名門・私立華胥女子学院を縁に
蓮実と出会い、関わり、行き過ぎていった少女たちの連作
(著者サイトより)

kansou

読みごたえがあったのに、終わってみれば『え、もう終わり!』 読後はほんのり笑顔。
GLを突き詰めていくと、ジェンダー的な思考にぶつかる。男性性とは、女性性とは。同性同士の感情とは。満足とは、成長、とは。両思いは終わりじゃない。人生は続く。
同性愛の物語では『何故異性ではなく?』という疑問も毎度付きまとうが、それを視点となる一人一人が悩み、考え、ぶつかり、やがて結論し、選択してする。描き方はとてもとても丁寧だ。
恋愛や、ジェンダーにばかりこだわった内容というわけでもない。むしろだからこそ、好きだと言えるのだが。幼さ故の憧憬、社会と人とどう向き合うか。永遠などなく、別れてはまた出会う、リアルではない、でも、どこか漂い続けるリアル。
視点となる少女たちは時代を動き少しずつ成長し。伸びた線が網を成して、結末へ繋がっていく構成も好きだ。
薦めていただいた本だったが、あの時、薦めていただいて本当に良かったと胸を張って言える。

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発行:痛覚
判型:文庫(A6)420P
頒布価格:900円
サイト:痛覚
レビュワー:森村直也