七都 シリーズ

arasuji
第二回アルファポリスファンタジーノベル大賞最終選考作品

動乱の時代に生まれ、革命に身を投じた少女達の友情、恋愛、成長を描く、架空革命少女小説。

戦渦の中で母を失い、葛藤を抱えながら反政府勢力のレジスタンスと関わりを深めてゆく十六歳の少女七都は、戦場で強引な誘惑を続ける敵の将軍煌に、反発しながらも惹かれてゆく。

戦乱の渦中に、いくつもの想いが交錯する。
(ヒロイン☆ふぇすた2サイト紹介文より転載)

sanka

kansou
壮大なスケールで描かれる架空革命少女小説。厳重な身分差別が敷かれた世界。被差別階級民の居住区・第七都ではレジスタンスが結成され、支配階級民の住まう第一都の軍と果てのない闘いを続けている。主人公・七都はレジスタンスを導く“勝利の女神”・英凛々子の娘。凛々子が戦没し、母を失ったところから七都の物語が幕を開けます。
1巻では、七都の母に向ける複雑な想いにともかく胸を揺さぶられ、感情移入し、涙腺が常に緩んでいました…。レジスタンスの英雄であった凛々子、しかし自分と姉の優花を置いて戦に赴く母を七都は許すことが出来ず、そのまま死別してしまいます。失意の七都は、第七都の住人であるというだけで受ける差別に憤りながら、ある教会に身を寄せます。そこで謎めいたシスター、聖羅と出逢い、ふたりは絆を深めていくのですが…ふたりは尋常ならざる因果で結ばれていたのです。
2巻では聖羅の隠された過去が明かされたり、七都が母と同じように戦に身を投じるなど、ますます物語が加速。でもここまでが人物紹介編だそうで、今後更なる重厚なストーリー展開が待っているとのこと。
少女小説、と銘打たれている通り、それぞれの登場人物に味わい深い描写が添えられています。更にそれが二重にも三重にも、愛とか憎しみとか友情とか様々な感情で交錯していく、正しくこれぞ少女小説! 私は七都の姉・優花の行く末が一番気になるのですが…ああ、ただ平穏には済まされないんでしょうね…。あと聖羅が庇護したくなるのもわかるほど、七都がかわいい。理不尽な軋轢に満ち溢れた世界に屈せず、時に戸惑いながら、それでもまっすぐ未来を見つめる彼女の一言一言に、胸が打たれます。彼女の懸命さが最後まで失われず、大団円に繋がるよう願いながら、5月ティア発行の3巻を待つばかりです。

data
発行:灯
判型:新書版 1巻:240P、2巻:194P
頒布価格:1巻:700、2巻:600円
サイト:
レビュワー:世津路 章

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