掘削日和
駿河湾を試験掘削する地球深部掘削船「ちきゅう」に乗船した日記
今回は平凡な微生物研究者が、「ちきゅう」に乗船した体験レポートです。 私はメカや船には詳しくないですが、どんなオペレーションをしたか、どんな乗船生活だったのか、できるだけ詳細に書きました。
試し読み版は、URLのリンク先のブログに埋め込んであります。
(第4回Text Revolutions Webカタログより転載)
小出マワル(@BoundaryRime) さん、『掘削日和』を読み終えた。
テキレボで最高に楽しみにしていた本のうちのひとつ。探査船に乗り込んだ時の日記です。
前回の深海行路もでしたが、『掘削日和』もとてもワクワクしてまっていました。
小出さんの文章って、とても物静かで、淡々とまではいかないけど表現すべきところと、言葉には書き出さないところがきっちり分けられていて、その比重とか割り振りが大好きです。
大きなしかも探査船に乗るというのに、わりに冷静だな?と一見思うんだけど、切り詰められて厳選されてるから文字を追っていくごとに、静かな語り口にこっちはワクワクしてくるんですね。
アニメの前回のあらすじを語るときのナレーションって、感情がかなり抑えられているものとかよくあるともうんだけど、あんなかんじに。とても魅力的な文章だなと思います。
そして、内容(あとがきによると内緒話ちうことなのでここでは多くは語りませんが)、うわーそれ!それが知りたかったんだ!っていうことが書かれていて。
私が一番興奮したのは、水没したヘリから脱出する訓練の場面です…!
テレビなどの特集とかだと、「乗船した!発見があった!」というドラマティックな場面ばかりで編集されますが、実際はそうじゃないはずなんですよね。
船にのるまでいどんな準備がいるかとかなにもないときはどんなふうに暮らしているのか、インターネットやテレビという陸地にあるものがどれくらい有効なのかとか、そこ!そこが知りたかったの!っていうところを書いてくれていて。
航海の日常を知ることができるっていうのがほんとうに楽しいし、読んでいてリアリティがある。
ところどころ、図解や、用語の解説も挿入されてて、読んでて引っかかりそうなところでもとにかくわかりやすいんですよね。
イカやクジラの絵もめちゃくちゃかわいい。
これは小出さんの「日記」だというけれど、古典の「日記」を今私たちが物語のようにして読んでいる、そういう読み物としての力も備えている本だと思います。
あとがきによると、次は海にまつわる創作の御本をつくられるといううわさを察知しましたが…それも楽しみにしています!!
発行:カシパンドローム
判型:A5 28P
頒布価格:400円
サイトカシパンドローム
レビュワー:孤伏澤つたゐ