恋愛系の話集 Vol.1
恋愛色が強い奇妙な類の話を5編載せます。
Webサイトに載せているものの改稿4編と
書き下ろし1編となります(太字)。
『良い終末を』
『裸恥換金』
『空を越えたら』
『先輩のだけ市販ですから』
『一歩の勇気』
(作者ホームページより転載)
非常に多くの短編を書かれている紅月赤哉さんによる、少女視点の恋愛小説をまとめた短編集。
「良い終末を」「裸恥換金」「空を超えたら」「先輩のだけ市販ですから」「一歩の勇気」の五編収録。
「終末」を迎えようとする世界で離れ離れになる幼馴染みを描いた「良い終末を」では、いつもの日々、変わりゆく世界の境目が丁寧に描写されています。寂しさを抱えながらも諦めようとしている美羽と、夢のようなことを口にする忍。何気ない会話から二人のこれまでが垣間見えます。
「裸恥換金」という独特のタイトルが目を引くこの一編は、いかがわしいバイトの中で生まれた小さな恋のお話です。夏緒の場違いで切ない思いには、こちらの胸も痛くなります。
それまでとは一転、爽やかで甘酸っぱい幼馴染みの恋愛が描かれているのが「空を超えたら」です。自転車で「空坂」を登るゲームをする信也と美智子。今までの二人が壊れる時どうなるのか……。ついこちらまで恥ずかしくなってしまうような青春の一幕です。
残りの二編にもそれぞれの味わいがあります。どの作品も読みやすい筆致でテンポ良く書かれおり、するする読めてしまう短編集でした。
発行:天気予報はいつも晴れ
判型:A5 22P
頒布価格:100円
サイトB・S・DHouse
レビュワー:藍間真珠