花街ダイニング

arasuji

いっぱい得にしてあげるね!
だから根拠がな……まあいいか

紡績工場の女工に出稼ぎに出たはずが、
隣国の《石の子供》研究機関に密輸出されそうになった
8歳から15歳の10人の《石の子供》の少女たち。
偶然、通りすがりの元第五王子直属特別部隊第二隊隊長、
現退役軍人《ササヅキ》に
助け出されたものの、
家に帰ることもままならず、ササヅキについていくことに。

見たことも無い都会に辿り着いた
彼らに課されたのは『就職活動』!

「年季明けで退職金もそこそこ出たが、あいにく
全員養えるほど俺の懐がでかくない。稼げる口を探せ。
本申込では身請人になってやる。
技術はお前の価値を上げる。習いたい者には貸し付ける、
励め」

初めての「勉強」、いままでの家事とは雲泥の丁寧な下働き、
せわしない都会の暮らし。
みなと一緒に新生活に踏み出した最年少の《セリ》は、
ササヅキが食堂を開くと聞いて手伝いに手を挙げたが。

動かないおっさん×動き回る少女が繰り広げる、
剣と魔法はしょぼしょぼの、貧乏くさいなんてことないファンタジー!

いつものように、1冊の中で8歳が18歳になるまでののんびりスパン。
合間に他の女の子達の話が入る、群像劇になります。

本人いたって
「今回はかわいい!明るい!これはほのぼの!今度こそほのぼの!」
と大まじめでしたが、
読み返してみると
ちょう・いつもどおりでした。……アレェ?

(第5回Text-Revolutions Webカタログより転載)

 


kansou

セリちゃんかわゆいかしこい!! 
賢い子はね、美味しいです(いいのかその表現で)。

「花街?」って思ったけど娼館とそれに隣接する食堂が舞台で、なるほど花街。
攫われて助けられた(?)10人の少女が居場所を見つける話です。

レジーディアンの覚悟は身に染みたし、その道に進む躊躇いがありありと感じられた。
一つを過去の箱に入れることが前に進むための準備になることってホント多いんですよね。
彼女にもエッダのような結末があってほしいと願う。

で、やっぱりセリが可愛いんですよ。
賢くてこまっしゃくれてて(あれ? 褒めてない?)、
暗算が得意なのは、普段書類の枚数数える業務だけで頭こんがらがってる私からしたらとてつもなく羨ましいし、なんのかんのササヅキからも信頼されてるよな、と。

10人の少女たちは、もちろん必要に迫られてなのだけど、
ちゃんと「生きていく道」を見つけて「手に職」をつけて、すごくたくましい。
元気が出る本です。オススメ。

おまけのR付き冊子もきゃわゆくてよいです。
しあわせなえっちはいいぞ。
いいぞ。

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発行:博物館リュボーフィ
判型:文庫(A6)288P
頒布価格:800円(R18なし)/850円(R18小冊子付き)
サイト博物館リュボーフィ
レビュワー:氷砂糖