猟犬の残効(2)


2022年、ニューヨーク。フリージャーナリストのダイアンは、元夫ギルバートとともに奇妙な失踪事件に携わる。犯人は誰か。なぜ起きたのか。一切が不明のなか、浮かび上がってくるダイアンとギルバート、そして養女・ジャンナの過去。錯綜する事件はやがて大きな転換期を迎え、三人の手から離れはじめていく―
三日月理音がお送りする、ハードボイルドサスペンス。(表紙裏より転載)

負けて弱者に落ちそうなときに読むといい。強者になろうという自尊心を強制的に引っ張り出されるから。
あ、やべ、終わっちゃった。
これだけではなんなので。
舞台はアメリカ。戦争の影色濃い時代。
出てくる奴らはみんな一回弱者に落ちて、這い上がる。
弱者とは=逃げるもので考えると分かり易いかもしれない。
逃げ出そうとする、でも逃げない。
主人公のダイアンや、ギルバート、ジャンナを襲うのは大概悲惨な目だ。
だが、逃げない。
戦う。
忘れかけていた戦う心を呼び起こさせる本だ。
アラブの砂塵まみれで雄たけびを上げろ。
狂った弱者を弾き飛ばせ。
それだけの熱が、この本にはある。


発行:HONKY-TONK
判型:新書版 108P
頒布価格:600円
サイト:BAR道化倶楽部

レビュワー:浮草堂美奈

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