民研部っ!~その壱~&~その弐~


民研部っ!~その壱~
 ここ、市立甘和備高校には、奇妙な部活動があった。
 名前は民俗学研究部。通称・民研部。
 個性的な民研部員による、ファンタジーな日常劇。

民研部っ!~その弐~
 女子高生、筑波鶫未が部長を務める民研部は今日も騒がしく活動中?
 日常系非日常ファンタジー、第二弾。
 民研部の迷走は今日も止まらない!

※サークル公式サイトより抜粋

電話かけて部屋に来て普通にケーキでお茶してるって、それただのお友達じゃないですかねメリーさん。

野生の小動物とふれあうがごとく、あやかし達と萌ゆるたわむる不思議部活ライフ。
民俗学研究部、略して民研部の女子高生四人が四人、個性も立ち位置もくっきりしていて、毎週すんなり正座待機できる安心感。
一巻、二巻ともに短編の集合体である本タイトルは、まずは冒頭のメリーさん↑が示す通りの、手ざわりライトな導入で幕が上がる。カマイタチと山犬は、お守りストラップ等の早急なグッズ化が待たれる。

5分アニメよろしくゆるふわさくさく進む(温泉回もあるよ!)かと思いきや、部員それぞれが密かに抱えるフツーでない「ひとクセ」が、順番にクローズアップされていく度に、次第に次第に明らかになる。
日常萌えに、アクションに、サスペンスに、怪談。
彼女たちの生い立ちや幼児体験を由来とする不可思議な物語が、ひとつひとつと綴られるたび、彼女たちひとりひとりの魅力とその後ろの”闇”が少しずつ見えてくるようで、一時停止する気が起きない。
CM前のアイキャッチが挟まるように、いい”引き”で短編、掌編が構成される、そのバランスもちょうど心地良い。飽きが来ない。

飢えさせ過ぎず食べさせ過ぎずで、上手い具合に食指を誘われながら、あっという間に文庫本二冊分を食べ終えてしまった。スイーツバイキング完食後の「おなかいっぱい! あ、でももうちょっといきたい」な感じにも似た、ちょっと贅沢な読後感を堪能させて頂きました。
……お、おっさんが行ったっていいじゃないか。スイ@ラぐらい! すっごい入りづらいけど!

いわゆる「女子高生の珍妙部活モノ」を制覇するなら、しっかり押さえておきたい一品。
第3クールも楽しみにしつつ、さあ本日も部活動開始だっ!


発行:たまごのしろみ
判型:文庫(A6) 壱138P/弐164P
頒布価格:壱&弐ともに500
サイト:たまごのしろみ
レビュワー:トオノキョウジ