半島と海峡の狭間で


1970年代初頭、韓国大使館員として中華民国・台北に赴任したキム・ギョンナムは、当地で日米両政府が大陸・中華人民共和国に接近し、台湾の国際的孤立が高まるという緊迫した状況に直面する。国民党一党独裁下の台湾と、軍事政権下の韓国。反共を国是とする両体制を行き来する彼は、しかし同じ資本主義陣営に属するはずの日米が大陸の共産党政権へと接近していく中、自国の、そして赴任先の政治体制に少なからぬ疑問を抱く。やがてその疑問は、彼の外交官としての立場を危ういものにしていき…。
冷戦体制下の1970年代、日米両国と同じ西側陣営に所属していながら、大陸中国との修交という選択肢をとることのできなかった反共分断国家・韓国の視点を通じ、東西両陣営の対立がアジアに残した痕跡を描写した作品です。

※サークル公式サイトより抜粋

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きつねのよめいり


 田園の中に、旧い家々と雑木林の丘陵が点在する田舎町。
 中学校からの帰り道、田野倉みずきはぽつりと頬に触れる水の気配を感じる。
「あれ?」
 眼鏡の奥のどんぐりまなこをきょとんと見開いたみずきに、隣を歩いていた近野さゆりが、首をかしげながらこちらに顔を向けた。
「どうしたの?」
「あ、うん――なんか、いま、ほっぺたにぽつって――
 うー……蝉のおしっことかだったらやだなあ……と頬をさするみずき。
 だが、急に強く降り始めた雨に、ふたりは雑木林の中に続く稲荷神社の石段を駆けあがる。
 夕陽がさしたままの空からきらめくシャワーのように降り注ぐ、お天気雨――きつねのよめいり。
 神社のお社の裏で雨宿りをしたみずきたちを待つ、ちょっと不思議な黄昏の時間。
 田舎町を舞台に、女子中学生ふたりを主人公にしたふんわり百合短編。

※サークル公式サイトより抜粋

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みのり二人


 寒い大雪の日。体調を崩したみのりが学校を早退してくると、母親がいるはずの家には鍵がかかり、なぜか雨戸まで閉められていた。
 通りがかったお姉さんに助けられて、みのりはお姉さんのアパートに落ち着く。
「それよりさ、その『お姉さん』って呼び方、何かやだな…私、みのりって言うの。みのりでいいよ」
「ええ?!………私も、『みのり』なんです。ホントです」
 同じ「みのり」という名前で、顔もみのりに似たお姉さん。初めて会うその彼女は、みのりの趣味や、誰にも言っていないはずの悩みを次々に言い当ててくる…。
 思わぬラストが待つ、心温まるSF短編。

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民研部っ!~その壱~&~その弐~


民研部っ!~その壱~
 ここ、市立甘和備高校には、奇妙な部活動があった。
 名前は民俗学研究部。通称・民研部。
 個性的な民研部員による、ファンタジーな日常劇。

民研部っ!~その弐~
 女子高生、筑波鶫未が部長を務める民研部は今日も騒がしく活動中?
 日常系非日常ファンタジー、第二弾。
 民研部の迷走は今日も止まらない!

※サークル公式サイトより抜粋

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うさみみ少年アンソロジー「うさしょ!」


 うさみみ少年を題材にしたアンソロジーです。

 著者は、青川有子、高槻玲、むらさき、もったり、ユツバ浩、ゆん、ヨサキクモ(敬称略/五十音順)の7人です。5本の小説とマンガとイラストが入っています。

(発行者様サイトより転載)

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みらい少女


未来に起こる大きな戦争を防ぐために
時空管理国際機関日本支部のエージェント・大野さんに与えられた使命――

“森下ナナエが秋山ヒトシから消しゴムを借りるのを阻止せよ”!

普通の学校の普通の生活の普通の同級生たちに紛れ込みながら、
今、大野さんの孤独なミッションが始まる――!

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セフトバンク・ダディ(2)


「たけまる信金、メガバンクモードへシフト!
 お客様の強行突入に対し、対地対空迎撃戦を展開します!」

金融機関からの現金強奪が合法化した、いつかの未来。
武装し要塞化した銀行及び信用金庫『メガバンク』は、
日夜強盗企業との激しい攻防を繰り広げていた。

窓口係兼第三砲撃手、上武凛子の勤めるたけまる信用金庫に、
大手銀行をいくつも破ってきたという新進気鋭の強盗企業『白糸家』が襲い掛かる。
銀の翼で空を飛び、弾幕を潜って現れたその敵は、人語を解する白い柴犬だった。

これは、この世で最も強き父親たちが贈る、ハートフル・バトル・ホームコメディである。
(サークルサイトより)

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