フィアンセは猫である


自他共に認める猫狂乱馬鹿、直晃の前に、突然現れた自称フィアンセのみのり。
溺愛する猫ミーティアや、やたらIQの高い妹や従姉妹に囲まれながら、ひと夏のアクシデントに巻き込まれ……。

何を隠そう「ジャンプ」より「りぼん」で育った事に定評のある私(3x歳オス)でございますが、わかりやすくぽんぽんと進む関係性の描写と色恋沙汰の進展は、まさに少女マンガのそれ。
読んで何を思い悩む事の無い、まさに恋愛ライトノベル。

世間を騒がす天才少女の妹を始めとした、やけにハイスペックな親族たち。
それに引き換え、何のとりえも無い平凡な男子高校生の自分直晃。
彼のコンプレックスの存在はもちろん示唆されつつも、取り立てて重くなる事なく読み進む事が出来るのは、ややテンプレを匂わせながらもくるくると動くキャラクターたちの魅力のお陰だろう。

……優秀な妹を持つと、ヘタレ兄の自分としては、ホントいろいろとしんどいものがあるのよね……(※個人の感想です)

表題の「フィアンセは猫である」事の意味について判明するまで、中々焦らしてくれる所が心憎い。
いつ泣かせにかかって来るかとやや警戒しながら読むも、ヒロインたちや直晃の本当の想いがとんとんと素直に明かされていき、ややドタバタとしながらも後味すっきりに終わる。

もうひと盛り欲しかったかなと思わせる所も色々とあるが、フィアンセと猫、妹や従姉妹、それらの誰かに偏った思い入れをして読むよりは、ニヤニヤしながら追いかけるのが正解な作品だろう。

まさにスイーツのつもりでお手に取るべき一冊。んー甘い。


発行:笠原小百合
判型:文庫 138P 
頒布価格:500円
サイト:スピカのみる夢

レビュワー:トオノキョウジ