中山|12R|4歳上1000万下|ダ 1200 β版


中央競馬の1000万下条件クラスのムラカミグレートは明けて6歳になる古馬。顔馴染みの古馬たちと今日も条件戦に出走する。そのダート短距離の条件戦に何故かGⅡ京都新聞杯3着の有名馬が……

 本を手にとった瞬間、思わず吹いてしまった。競馬新聞にあるレースのタイトルがそのまま本のタイトルになっているからだ。競馬を知らない人にはまったく読めないタイトルであるだろうが、思わず一気に読んでしまった。
因みに、「なかやまさいしゅうこばいっせんまんしただーとせんにひゃく」と読みます。

 内容のイメージとして掴みやすいのは、「みどりのマキバオー」かな、馬同士が人間みたいにしゃべって物語が進行していくタイプで、まえがきに「競馬用語、ルール、スラングについての説明は、文中にありません」とあるが、気になるほど難しい専門用語はなく、前後の状況からわかるような表現に留めているあたりに作者の優しさを感じました。
レース部分の描写についてはムラカミグレート視点によるレース展開と、人間目線の実況によるレース展開で表現され、俗に言う「脳内再生余裕w」で面白かった。
特に実況部分の表現は作者は余程競馬が好きか、勉強したかと感じさせられるほどでした。

 主人公のムラカミグレートは上のクラスに勝ち上がって行くほど強くもなく、競走馬として諦めるほど弱くもなく、また、残りそう多くはない競走馬人生をどう向き合っていくのか悩んでいくのですが、そのあたりがすごく共感しました。同じように共感する人もいるんじゃないかな?
これからムラカミグレートが出す答えを楽しみにしていきたいと思います。


発行:DA☆RK’n SIGHT
判型:A5 20P
頒布価格:無料配布
サイト:DA☆RK’n SIGHT よしなしごと

レビュワー:御拗小太郎