手紙

あなたは手紙

生まれたときから
たったひとりの誰かに
宛てられた手紙

行く宛は今は
雨にでも降られたか
少し滲んでて見えない
けど確かに書いてあった
届けば大切に
読んでもらえる
あなた

行く宛は読めないから
少しずつ迷ったりする

ふいに置かれた
優しいふところにぽつんと立ち止まったり
ぶつかってきた
悲しいふところをはっと避けたり

ふらふら

いろんな人のポストに入っては
ときにいらないって言われて
ときに間違いでしたって言われて
へこんで
それでもちょこっとだけ
必要とされたりしたから
まだまだ、って言って
ひらりひらりと空を舞う
とか強いあなた
何色の便箋？

ふたりの人に必要とされることもある
両方からえいって引っ張られて
なんかちょこっと破れちゃって
早くどっちか選ばないといけないんだけど
わかんなくて まちがえて
両方から捨てられちゃうこともある
それでも行く宛には必ずたどり着くからいいんだ
とか強がるあなた
凛とした文字だね

たくさん傷ついて
もういいやっておもうこともある
読まれずに捨てられてもいい
そんなときに立ち読みされて
誉めてもらえたりしたから
なんかすごく嬉しくて
あなた
また行く宛探し　続く
長く　長く　遠く

１２月２６日今は旅の途中
もう辿りついたのか
どこに行くのか
分からないけど

あなたは手紙

生まれたときから
たったひとりの誰かに
宛てられた手紙

大切に読まれては
行く宛のひとのこころを和ませる
たったひとつの手紙