エクストリーム・ワーキング


ちょっとグロテスクでシュールな掌編集。
世界を股に掛けたアルバイターが経験したとんでもない仕事を語る。
(サークルサイトより)

sanka

いくつもの世界を渡って、「今までにやったことのない仕事」を記録することが存在意義である男、エリルベート氏のお話。
掌編連作の形を取っていて、こちらの本には全三編+αが収録されております。

ただし、この中で語られている「仕事」は、あまりにも奇天烈なもの……まさしくタイトル通りの「エクストリーム・ワーキング」ばかり。
しかしここで全容を語ってしまうと完全にネタバレになってしまうので、詳細は割愛させていただきます。この本は、是非、何も知らない状態で手に取っていただきたい。
読み手の想像を遥か斜め上に突き進む「世界」と「仕事」に、一体どうなってしまうのかと、ページを繰る手が自然と早まることは間違いなしです。
どこまでも突拍子もないのに、確かにそこに存在するような生々しさを伴う発想は、一体どこから湧き出してくるのでしょうか。あの標本なんて……おっといけないこれ以上は。
作者さまが称するとおり、グロテスクな描写も多く、読む人を選ぶ部分はあります。しかし、それらは全体としてはシュールな枠組みの中で、あくまで乾いた筆致で描かれています。状況のおどろおどろしさ、気色悪さよりも、その「奇妙さ」に目を見張る、そんな空気を全編に感じました。

ちなみに、個人的には「混ざる」の世界がオチを含めてとても好きです。
ちょい役で登場する同僚がかわいそうで、思わず目を覆ってしまいます。だがそれがよい。

このお話は、是非シリーズとして、あちこちの、色んな意味でエクストリームな仕事を描いてほしいと願わずにはいられません。


発行:むしむしプラネット
判型:文庫 48P 
頒布価格:100円
サイト:むしむしプラネット

レビュワー:青波零也

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