エクストリーム・ワーキング(新装版)
世界を股に掛けたアルバイターが経験したとんでもない仕事を語る、ちょっとシュールでグロテスクな掌編連作。
・生きた人体模型、と言う仕事の詳細――「はらわた」
・極彩色の世界で巻き込まれた事件――「混ざる」
・ある工場で生産される食品建材と言う物体について――「キューブ」
の三篇とそれらに付随するエピソードを収録。
※ 若干の猟奇的表現がございますので苦手な方はご注意ください。
(※Happy Reading様紹介ページより転載)
※過去の感想はこちら
エクストリーム・ワーキング
世界を股にかけるアルバイター・エリルベートさん(通称エリー)の奇想天外な体験談。…あらすじにある通り、ちょっと気軽な気持ちで読むとカウンター食らう程度にはグロテスクなお話集です。でもそこさえクリアできれば、エリーさんが体験してきた世にも奇妙…ってレベルじゃないお仕事の数々にすごく好奇心を刺激されます。
確かにグロテスクなのですが、下品さは全く感じられません。それどころか、物語を辿るエリーさんの一人称はどこか他人事のような淡々加減で、それがまた背筋をひゅっとさせる演出になっています。あくまでもエリーさんの体験談がメインなので彼自身や世界観には多くは触れられませんが、時折覗くダーク・ファンタジーの香りに、もっともっと覗いてみたい気持ちになる絶妙な作品です。
今回新装版を手に取ったのですが、中身のギミックも凝っていてそういう意味でも面白い一冊。怖いもの見たさで読み始めたら最後、ずっぷりはまってしまいます。
発行:むしむしプラネット
判型:文庫(A6)50P
頒布価格:200円
サイト:むしむしプラネット
レビュワー:世津路 章
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