不治の病
奇妙な病に侵された患者が集まる病院での、看護師の一日を描いた一冊。
淡々と描かれていく奇妙な病に罹った人々、そして彼らとの看護師のやりとりが中心となった話です。
強くもあり脆くもある命というものの、歪ながらも「生きる」人々の姿が、病室ごとに静かに綴られています。
そこからは生命の不思議と危うさが切々と滲み出ているようです。
落としどころについては予想通りのものだったのですが、そうなだけに読み進めていくうちにそこはかとなく漂ってくる物悲しさが胸にしみました。
正常と異常、健康であることと病に侵されることの境目というのは、ひどく曖昧なのかもしれません。
そんなことを再確認した一冊でした。