グロリア・リリィの庭
「“王子様”は“お姫様”の前で泣くことが出来ない。
だって“王子様”は完全で、無敵で、すべてを護るものでないといけないから。
だから、わたしは“王子様”が泣くことができる、その居場所になる――」
自身の内面を隠匿し続けてきた女子高生・鮎川砂奈は、
《グロリア・リリィ》と揶揄される同級生、立花優理のある秘密を知る。
優理の歪な実態に翻弄されながらもカメラを手にし、彼女の裸体をファインダーに収め続ける砂奈。
誰からも忘れられた旧校舎で重ねられるふたりの逢瀬のその先に、
待つのは破綻か諦観か、それとも――。
これは“王子様”も“お姫様”もいない、その庭の秘め事。
(著作者様サイトより)
苦手なのは間違いないんです。恋愛モノは。
ただ、いつも読んでいて思うのは「だけじゃないなぁ」ということ。
人は誰かに必要だと言ってもらえないと生きるのが非常に苦しくなる。
けれど、その『必要だ』だけをよりどころにするのは恐ろしくて、
大抵の人が何かしらの言い訳を身につけている。
物語の中で、砂奈も優理も、純粋に不器用に言い訳を思い付くこともなく足掻いている。
砂奈の『必要』を『必要としない』突っぱねた生き方も。
優理の病的なまでに『必要』を『必要』とする生き方も。
たまたま通っては来なかった、けれど、通ったとしてもおかしくない道だった。
その強がってきたもの。遠い昔に決別してきたモノへの想いが、二人を通して立ち上がってくるようで。
レズもの。言ってしまえば簡単だけれど。
たまたま先天的に(?)男性はダメで。人間不信に近かった主人公が初めて関わりたいと思った相手が女性だった。
ただそれだけの純愛物語。
言葉を重ねましたが。
この物語なら。世津路さんの描く物語なら、今後も読めます。読ませてください。