楽園の子供たち・2
──あれから三年。十歳になった美空は再び船に忍び込む。
五年半という数字とともに、再開は悲劇の種を孕んでいた。
(※サークル様ブログ紹介文より転載)
(※『楽園の子供たち』の続編です)
ある島での出来事を、子どもたちの目線から描く『楽園の子供たち』シリーズ第二弾。前作で邂逅を果たした瓜二つのフカミと美空。前者は島に住み、後者はひょんなことから島に潜入した“ホンド”の子ども。初めて会った時にはまだ幼かった彼女たちが、少し成長したところから物語は始まります。
彼女たちが成長した、そのほんの少しの分だけ露わにされる世界の有り様。決して全貌が見えるわけではないのですが、それが却って読み手の背筋を凍らせます。また、前作で不思議に思えていた箇所がだんだん明らかにされ、こっちでもあわわわわと開いた口が塞がらず。ストーリーテリングの妙に唸らされます。
中盤以降、ある事件が起きてからは冷や汗をかきながらどんどん読み進めてしまいました。大人と子ども、昔とこれから、島の中と外、本作にはさまざまな軸とその両端があると思いますが、それに翻弄されるフカミと美空がどう立ち向かっていくのか。「決まっていることだから」という蓋をどう押しやっていくのか。…あるいは、それすらもさせてもらえないのか。ハラハラしながら、次巻を待ちます。今ならまだこのスリルを味わえるので、ぜひ次の文フリでお手に取ってください!
※楽園の子供たち1 のレビューは【こちら】です。