スティーリィ・ワンダー!


「俺は鉄だ、鉄でありたいんだ。あの人がそう思ってくれてる限り、彷徨って戦って、生きていくしかねえんだ」 レコードブームに沸く60年代アメリカ、音楽の街ムータウン。 少女アイシャの前に現れたのは、アップライトピアノを軽々振るう黒い肌の楽譜強盗、スティーリィ・ワンダーだった。 【黄金の千曲】を狙って、複合音楽企業ミヒャエルゴルト・カンパニーへ潜入する二人。だがそこで男が見たものは、旧き友と彼らの黒い企み。そして、過ぎし日の想い人の姿だった。 お願い、パパとグランパを止めて。 少女の願いとピアノを武器に、最強のフられ男が摩天楼に挑む! これは、少女が男の生き様を知る、太陽と星のスティールアクション・ストーリーである。(クロヒス諸房様からの転載です)

(著作者サイトより)

sanka

「もしもピアノで殴れたら!?」
帯の謳い文句どおり、最初の一行(歌えるのがなんか悔しい)から腹を抱えて笑えるアクションガチバトルが展開。
「お願い、パパとグランパを止めて。」
という少女の願いからMGCのビルに乗り込み、コードと共に繰り広げられる『演争(ギグ)』という名の戦闘は設定も描写も荒唐無稽(褒めている)で、笑いまくれます。
しかし、一旦、それが終われば、まさに男達と女のブルース。
演奏者を目指す少年二人に、歌手を目指す一人の少女。少女をレコード・クイーンにする為に、ひたすら曲を書き続ける少年に、もう一人の少年と少女はついていけず、やがて……。
強く前を歩き続けられる男と、弱い男と弱い女。弱さの中に狡さも垣間見えるのに、その弱さが可愛く、愛しくみえるのは、筆者の筆力、キャラクターの魅力が、素晴らしいから。としか言いようがないです。
昔馴染みの街を守るために、もう一度手を組む、元少年二人と、それを見守る元少女。母と違い、彼についていく少女は、激しいバトルの中、強い男の『弱さ』を見る……んです…けど…。
何せ、ラストバトルもノリノリの荒唐無稽、奇想天外(とっても褒めている)なガチバトル!ハラハラドキドキしながら、笑うしかないって経験は初めてでした。(勿論褒めている)
そして、終演。物語中も所々散りばめられた「おっさん×少女」に密かに萌えていたのですが、これはもう本当に萌えるしかない。
そう、彼女には彼を追い掛ける、才能と腕と強さがあるのです。
おおっ!!良いぞ~!!と萌えまくっていたら……最後の最後に全てを持っていかれました!!本当にありがとうございました!!(歌えるのが地味に悔しい)
というわけで、笑って、ホロリときて、笑って、ジーンときて、笑って、ドキドキハラハラして、笑って、萌えて、笑った話。読後にすっきりと晴天のように気分が晴れる、本当に素敵なお話でした。


発行:クロヒス諸房
判型:文庫(A6) 136P
頒布価格:500円
サイト:クロヒス諸房
レビュワー:いぐあな

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