ファンタスティック・ワーキング(2)

arasuji
世界を股に掛けたアルバイターが経験した不思議なを語る、
ちょっとシュールでちょっと幻想な掌編連作。

・針の付いていない釣り竿を垂らして待つものとは――「蝋紙の誘惑」
・その巨大な木の葉は螺旋階段のような形をしていて――「登る阿呆」
・薬を口にすると、愛らしい猫の姿が脳裏に浮かんだ――「情報薬」
・彼女は荒野で光を拾い、僕はそれに倣う――「耀ける亡骸」
・この街の住人たちは気軽に頭を取り替える――「頭を抱えた話」

の五篇とそれらに付随するエピソードを収録。
(過去のペーパーからの再録を含みます)

(Text-Revolutions第二回Webカタログより転載)

※この作品の過去の投稿
 ファンタスティック・ワーキング

sanka

kansou

主人公は記者をやってるエリート・エルルベート。
いろんな世界のいろんな職業を転々としながら面白い話を集めて記事にしているっぽい。

以下感想です。

「蝋紙の誘惑」
商材が”情報”てこともあり、Yahooで検索とかではなく釣り上げるとな。
でもやってることが基本僕らがやってる情報を振り分ける作業と同じで、たくさんとっても取りきれない、だからあとは捨てる、という形。
お話を書くばあい、普段やってる普通のことを別な手段で表現できるってのは個人的にすごい好きなので、素敵だと思いました。

クマさんおっちゃんが好き。

「登る阿呆」
木の実とかいってるけど実は会ったのは人当たりのいいソニー・ビーンですという話。
最後にちゃんと気付けてよかったとは思うけど、エリートくんのお人好しは命をかけるの大丈夫なのか……と彼をすこし心配になってしまう感。

「情報薬」
調合した薬で情報に浸れるお話。
エリートくんが作ったのはとある老人のためだったけど、中にはいかがわしい目的をする人もいて。
でもまあ、本を薬にできればいっぱつで中身が頭にはいるわけで。
それは個人的にとても欲しいとおもった。素敵商材。

「耀ける亡骸」
少女の説明がざっくりでわかりやすかったw
言葉を食べれる場所にやってきたエリートくん。
降りしきる雨は言語が死んだ、ということっていう発想はとても美しくて、切ないです。
こういうさらりとしながら感情に突き刺さる文を書けるところが好き。

「頭を抱えた話」
そうなるよねーーーーーー!!!!

読んでて思ったのはリアルのあたりまえを別な言葉で言い換えることがむし子さんは上手で、それがとても読んでて楽しかった。
そういうファンタジーがあるから、こういった本は好かれるのだと思います。
特に「輝ける亡骸」はオススメ。
おもわず「言語が死ぬ」とはどういうことかと考えてしまいました。

内容について深く考えてもいいし、さらっとエンタメ的に読むのでも楽しめる一冊です。

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発行:むしむしプラネット
判型:文庫(A6) 58P
頒布価格:200円
サイト:むしむしプラネット
レビュワー:綾瀬翔

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