ぬばたまの夜の更けるまで

arasuji

東日本大震災の周縁を巡る、東北出身者たちの日々を描いた連作短編小説4篇。
(サイトやまいぬワークスより転載)



kansou

2015年9月4日、「私」は仕事仲間の数井さんと福島県楢葉町を訪れた。明日からは規制解除が行われる。ぶらぶらと歩きながら2人のたわいもない話が続く。夜が更け、グラウンドでは3千本のろうそくに点火されたのだった。
「東北出身」でありながら、東京で暮らす「私」は、「震災を知らなければ」という義務感に駆られるが、楢葉町まで来ても何の切実さも得られず、ぼんやりと距離だけを感じている。「無事でいること」の罪悪感を描いた作品。
繊細な問題を書こうとした作品だと思う。私自身、神戸出身で「震災の外側にいること」を考え続けているので、心に触れるところがあった。

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発行:やまいぬワークス
判型:A5 12P
頒布価格:0円
サイトやまいぬワークス
レビュワー:宇野寧湖

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