2021年2月4日 / 最終更新日時 : 2021年2月3日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 手紙のはなし その街は印象を灰色としていた。 透きとおっているわけでもなく、ぼやけているわけでもない。透明度がひどく高く、彩度だけがひどく低い。そんな灰色が、晴れていても曇っていても、その街を覆っていた。街にとって、海は近しい位置に […]
2020年10月15日 / 最終更新日時 : 2020年10月14日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 真珠 手紙というものがある。便箋に文を書き、宛先を書いた封筒に入れ、切手を貼ってポストに投函するあれだ。 ここに一通の手紙がある。封筒には宛先がなく、便箋にも宛名はない。切手を貼られてもいない。 森の廃屋で見つかったそれは、 […]
2019年8月3日 / 最終更新日時 : 2019年8月2日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 手品師と四つ葉 空が青いということに戸惑った。ここに通うようになってから、初めて目にする色だった。いつもの空は灰色で、どことなく潤んでいた。 メレンゲのような、まばゆく白い雲が、そこここに浮いている。その明瞭さに驚いた。いつもの雲は灰 […]
2017年8月18日 / 最終更新日時 : 2017年8月17日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 手品師と人魚 白茶の方形石で組み上げられた防波堤が海に突き出ていた。海へと伸びる白茶の腕は二本。そのはじまるところに砂浜がある。白よりも灰色に近い砂で、その砂浜はできていた。砂浜の先には街があり、丘があり、丘の頂には教会が建っている […]
2016年8月29日 / 最終更新日時 : 2016年8月28日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 手品師と煙 川に抱かれて佇むその街は、青灰の石の組み合わせでできていた。川を底として盛り上がる地形そのままに石造りの家々が積み重なっている。宅地の連なる丘には――誰かの屋敷の庭なのだろう――緑が点在し、石塊から彫り出された街のそこ […]
2013年10月3日 / 最終更新日時 : 2015年9月3日 straycat Review 夜に舞う、淡き燐光の白い花びら 少年が挑むのは王位継承の儀。それは『彩華』を見つけるというもの。誰ひとり知らない花を探して、少年は水鏡の中へと沈んでいく。そこで少年が見たものは――。 (ブクログのパブーより引用)