冴映える月


日露戦争の戦場から生きて戻ったものの、日々の生活に困った主人公は、戦場で自身の小隊長だった男の材木会社で働き始める。
彼の仕事は「大谷郷村の山林買収」――
その山林の持ち主との関わりあいを通して、彼が秘めている悲しい事実に、主人公は対面することとなるが――。

常に、人の悲しみが流れるお話でした。
読み進めていくと、どんどんと手が震えていくような。
気持ちが主人公に乗り移り、彼の感じること、考えることにうなずきながら読みました。
最後の結末を思うと、人間というものの悲しみを考えずにはいられません。
どうして…どうしてなんでしょうねと。

私も冴映える月に問いかけてみたいのです。


発行:幻奏華
判型:文庫(廃版) 158P 
頒布価格:300円
サイト:幻奏華

レビュワー:神風零