空蝉


 祝言を直前に控え自害した娘。婚約者に捨てられたという理由は、果たして本当なのか?
 憑き物信仰の残る村で民俗学の調査を手伝う悠木は、1年前に起こった彼女の死にひそむ謎へ次第に惹かれていくのだが……。

日本やヨーロッパを舞台に物語を書かれるサークル様で、この本は3つの短編からなっており、舞台は日本でした。

「蜜柑」
最後にどきりとした。衝撃で言葉にならず、しばらくしてからあぁそうかと。主人公の肩にそっと手を置き、ともに泣きたい気分。祭……祭かぁ……。

「横山先生」は秀さんの和物でユーモアなのは初めてだったので、楽しかった。
先生の葛藤が見えるようで(笑)

「空蝉」は……以前読んだ「冴映える月」に似ていたけれど、登場人物らのお陰で何とか明るさを保てたというか。自分ではどうしようもないうねりの中でもがく人間を書かれるのがうまく、いつも読み進めるにつれて登場人物に感情移入してしまいます。今回はお兄ちゃんに!お兄ちゃんの言葉、うなずきたくないけれど、(うなずいたら悲しくて悲しくて、認めたくない!)「そういうこと」なんだなぁと。


発行:幻奏華
判型:新書 86P 
頒布価格:280円(電子書籍版) 
サイト:幻奏華

レビュワー:神風零