解放弦-The released string


歌姫と侍女。遠い昔に交わした約束。
息が詰まるようなガールズラブ・ノベル。
ヒロイン☆ふぇすた!サイトより)

美しいものに焦がれ、追い求める心が痛々しいまでに胸をうつ。
苦脳。嫉妬。情熱。執念。それらの感情が、作者の高い言語センスで巧みに語られ、本来、ガールズ・ラブになど感心のない私の心を説き伏せてしまった。
物語の骨格はきわめてオーソドックス。人物配置も王道パターンだが、それがまた奇をてらわず、かえって作品に安定した「気品」を約束している。
前半のクラッシック音楽のような流れから一転、生々しい欲望の表現が吹き出すラストはドキッとするくらいインパクトがあった。
静かな展開だが、その内側は激しく、熱い。

これは宝石のように美しい作品だ。
本の装丁も美麗。自信をもっておすすめできる一冊である。
(続編に「愛の夢」、「ワスレナウタ」あり)


発行:冬青
判型:A5 78P
頒布価格:800円
サイト:siren to noise
レビュワー:大和かたる