サラリーマンのための〜ウツの前、読んどきゃよかったこんな本

あなたは「自分はうつになんか、なる訳がない」と思っている。たとえ、うつになった知り合いが身近にいたとしても「自分には関係ないことだ」とも。かつての私もそうだった。だがそれは大間違いなのだ。なぜか。

うつは「誰でも、いつでも、なる」「かもしれない」病気だからだ。では、なぜうつになるのか。うつにならないためには、あるいはうつになってしまったら、どうしたらよいのか。答えを先に言えば「転ばぬ先の杖」である。以下、私見ながらご説明しよう。

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【1】うつの原因とは何なのか
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うつの原因とは何か。

それは、その個人の人格と周囲の環境との衝突もしくは軋轢だ。もっと言えば、本人が内心で抱いていた、何らかの価値観や価値の挫折もしくは喪失によって、うつ病は発症するのだ。

では、うつは何時発症するのか。予測は出来るのか。残念ながらそれは予見不可能なのだ。なぜか。

既に述べたように、うつは個人と環境の双方の関数なのだ。つまりどちらか一方だけでは原因とはならない。ある特定の個人の人格と価値観、そしてそれを阻む環境。その両方が揃って発症する。

例えば、内心で何かの苦悩を抱えている人であっても、人生行路がすべて順調で順風満帆なら、うつにはならないかもしれない。その内心の苦悩が顕在化してうつになるのは、何らかの逆境にぶつかって「心が折れて」しまうからだ。つまりうつの発症には、何らかの逆境に遭遇することが前提条件になる。

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【2】事前に予測はできるのか
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ところが、おなじような逆境に遭遇しても、うつになる人もいれば、ならない人もいる。となると、うつの発症には、そのような逆境下では挫折してしまうような、何らかの特定の価値観や人格が前提条件になる訳だ。つまりうつは個人と環境の両方が揃って発症するものなのだ。

だがその「内心で抱いている何らかの価値観や価値」などは、人によって千差万別だ。それを全て意識的に自覚できている個人など、いやしない。どんな個人にも、無意識下には自己認識できていない盲点や死角が必ずある。そこを衝いてうつ病は発症する。

おまけに環境条件、つまり個人の人生行路などは、全くばらばらだ。一期一会の縁やら金運やら、不慮の事故やら災難やら、それらの予測は不可能だ。

だからその「価値観や価値」が周囲の環境といつどんな矛盾を生じるのか、つまり価値観や価値の挫折や喪失が生じるのか、事前に時期の予測は不可能なのだ。

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【3】うつは回避できるのか
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なるほど、わかった。

だが、うつは個人と環境の両方の組み合わせで発症すると言うのなら、うつになりやすい組み合わせが有るのではないのか? いつ自分がうつになるのか分からないのだとしても、うつになりそうな組み合わせが分かれば、うつになるのは回避できるのではないのか。

だが、残念ながらこれまた答えはノーだ。何故か。

そもそも人はどんな契機でうつになるのか、考えてみよう。

たとえば職場でも学校内でも家庭内でもいいのだが、自分が他人に評価されず、人格や存在を無視されたように感じてうつになる人もいるだろう。逆に、周囲に先んじて抜擢されたことがかえって重圧になり、うつになる人もいる。所謂「昇進うつ」だ。或いは長年可愛がっていたペットに先立たれてうつになる人もいる。「ペットロス」だ。

つまり、うつになる契機は人によって千差万別だ。それを列挙していけば、ありとあらゆる病因が見つかることだろう。

となると、どの病因もうつ発症の契機となりうるという点では、全く同等である。どの契機なら発症の原因として「正しくて」、どの契機は「間違っている」とか言えることではない。

なぜなら、これら病因に関する唯一かつ妥当な理由は、「本人にとって、(その時点では)それが最も重要なことだった」ということでしかないからだ。

どのような価値観や価値を持っていたからと言って、それは本人次第であり、善いとも悪いともいえない。他人にとやかく言われるべき筋合いのものではないからだ。

おまけにその価値観や価値とはなんだったのか。それは事後的に、謂わば後知恵で分かるだけである。本人にとってみても、うつになってみて初めて自覚できるものなのだ。「ああ、自分にとっては、これが最も重要なことだったのだな」と。

従って、うつ病の病因に対して、第三者が「普通」だの「俺は」だの「他の人は」などという評価基準を持ち出して、その正否・適否・妥当性を「値踏み」や「査定」をしてみても、意味が無いのである。

ご本人にとっても同じことだ。「こんなことで、うつになるなんて。いったい俺は」などと自分を責めたり情けなく思ったり。そんな必要は全くないということだ。

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【4】防ぐのか、備えるのか
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なるほど、これまたわかった。自分がいつ、うつになるのか、何が原因でなるのか、事前の予測は不可能なのだ、と。

だがそうなると、うつに対しては全く打つ手がないのか。どうしようもないのか。うつになるかもしれないと思いつつ、戦々兢々と座して待つしかないのか。

いや、そんなことはない。

ここで所謂「ハザードマップ」のことを考えてみよう。あれは何も各自治体が住民を脅かすために作っているわけではない。土砂風水害などの想定される災害が生じた場合に、どの範囲まで被害が及ぶのか、事前の予想範囲を示したものだ。もちろん目的は、災害に対して住民各自が事前に備えて、少しでも罹災被害を減らすためである。

うつ病に関しても、全く同じことが言えるだろう。うつは防ぐことはできないのかもしれない。だが、備えることはできる病気なのだ。

自分たち一般社会はうつ病に対して何を予期しておき、実際にはどのように対処すればいいのか。それらの問題点は、一般社会側が予め事前に認識しておかなければならない。

その事前認識が過剰期待を防止し、結果として悪循環と回復までの期間の無用の長期化を回避することに繋がるのだ。

平たく言えば「備えあれば憂い無し」なのだ。「自分はうつになんか、なる訳がない」と思っているとどうなるのか。いざ自分がうつになってみると、予想外の事態に慌てふためくことになる。焦りと狼狽が、一層心境をこじらせるからだ。

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【5】うつへの備え:三つのポイント
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では、うつに備えるとはどういうことなのか。事前の認識と言っても、何が対象になるのか。それは以下の三つである。

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(1)うつの経過は「すごろく」である
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いざ、うつになってしまった場合、自分が今どこにいて、今後どのような経過を辿るのか。

うつに対する備えの最初のポイントは、その予備知識を得ることだ。言わば、ガイドブックかナビマップのようなものだ。ここではそれを「すごろく図」として整理してある。

すごろくでは、サイコロの目の出方次第で、上がりまでの辿り方は無限に多様化する。うつの経過も同じことなのだ。発症の契機も原因も経過も、人によって全くばらばらだ。

だからと言って、全く共通点がないわけではない。共通点を見出して一般化や定型化を図れば、見通しが立てられる。この多様性と一般性を両立する概念として「すごろく図」で図解したものだ。

こんな図解はこれまで無かった(と思う)。うつに対して少しでも関心のある方にとっては、正に「目からウロコ」だと思うので是非ご覧頂きたい。

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(2)うつは「甘ったれ」の「怠け病」か
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二つ目は、患者をなじっても病気は治らないという認識だ。これは所謂「新型うつ」を例にとって書いてある。

うつは個人と環境のズレが原因だ。つまりはお互い様である。おまけに個人の価値観はひとぞれぞれ。当人にとってはそれが一番重要だと思っているからこそ、譲れない。
それに対して「甘ったれ」「わがまま」「怠け病」などと、なじったところで問題は解決しない。かえってズレを深刻化させてしまうだけだ。

では、何がどのようにズレているのか。なぜズレてしまうのか。ズレを解消する選択肢はあるのか。ここではそのズレのメカニズムを詳しく解析すると共に、方向性ごとに分類基準を立て、考えられる選択肢を網羅的に列挙している。

もちろん決めるのは、あなただ。列挙された選択肢のどれを取るのか、取らないのか。或いは新たに別な選択肢を作り出すのか。

だが、予めこれだけの選択肢が列挙されていれば、何を決めなければならないのか、決める前に明確に認識ができることだろう。

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(3)うつになって悩むこと、考えること
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三つ目は、うつになったら一体どんなことに悩むのか、苦しむのか、その事前学習である。

うつになると、頭の中をぐるぐると悩み事が駆け巡ることになる。その定番の代表は、次の二つだ。

[1]「何のために生きてるの?」
[2]「それじゃメシが食えないよ」

言い換えると「人生の目的」と、その「実現のための方法論」という二つになろうか。もちろん価値観によって、それはさまざまだ。

だが目的があるなら、その達成度合いを自己測定する評価基準があるだろう。また実現というなら、乗り越えるべきハードルがあるだろう。

ここでは、その評価基準とハードルについて、考えられる内容を概念化して明確にすると共に、類型分類によって網羅的に列挙している。

もちろんこれが全てではないかもしれない。だがこれだけ網羅的に列挙があれば、何が問題なのか、どのような問題があるのか、事前に俯瞰することが出来るだろう。

ご自分今どんなことに悩んでいるのか、その先にはどのような展望がありうるのか。ご自分で考える前に、全部一から悩む必要は無いのだ。

経験知は蓄積されねばならない。車輪を二度発明する必要は無いのだ。

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【6】赤ペン片手にどうぞ
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以上が、頒布物のレジュメだ。

もちろんこの内容がうつに関する全てではないだろうし、この内容が全て正しいとは思ってもいない。

だがどのように活用するのかは結局読み手のあなた次第だ。是非赤ペン片手に、どしどし書き込みをしながら読んでいただきたい。全編が真っ赤になってしまい、元の文面が殆ど見えなくなってしまった時。それが、あなた自身のオリジナルな見解が出来上がった時なのだ。その時こそ、あなたがうつから卒業する時である。

(以上)


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サークル名:うつのトリセツ研究所(URL
執筆者名:おんちょんめん

一言アピール
うつに少しでも関心のある方、或いは体験者の方へ!目からウロコ?!の体験記です。図解と漫画・イラストを駆使して徹底解説!今まで有りそうで無かった?「うつのトリセツ」です。「転ばぬ先」の予備知識として、体験者の方には「あるある」満載の体験整理として是非どうぞ。(アンソロにレジュメを載せました)


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