秘めた恋情をあなたに
あなたが好きです。付き合ってほしいです。
出会ってからそこそこの年月が経ちますが、最近はあなたのことを考えることばかりです。
他愛のないやり取りをしているときは、とても楽しいです。ついつい笑顔になります。
元気のないときに励ましてくれる優しさが、いつも心を温かくさせてくれます。
多趣味で楽しんでいる姿がとても素敵です。
一緒に遊ぶときは、色々任せっきりなところがありますが、その計画は常に満足させてくれて尊敬しています。
だから、もっと一緒にそばにいたいです──
今どきラブレターを書くなんて思わなかったけど、こんな恥ずかしいものは出せない。
そもそも、相手の現住所を知らない上に、いつ会えるかも分からない。腐るものではないが、とても渡す勇気はない。
だったらいっそのこと当たって砕けてしまっても、と何度も考えたが、とても居心地のいい関係を壊したくはなかった。
相手の気持ちをこっそり覗ける力があれば、なんて夢物語を想像することもあった。
分からないからこそ人間は楽しんでいるのかな。
中途半端に書いた手紙をくしゃくしゃに丸め、ゴミ箱へと放った。
ただ想いを書き出すだけでも少しはすっきりしたし、もう今日は終わりにしてしまおう。
アラームを設定するために端末を見ると、通知が来ていた。
『またわいわいおでかけしたーい!』
いつもの調子で書かれた短い呟きは、いつものように楽しませてくれた。
気付けば口元が笑っている自分の姿があった。
さて、どんな返事をしようかな。
普段から脊髄反射的なやり取りをしているが、決して考えていないわけではないし、嘘偽りもない。
指を滑らせて文字を入力し、全世界に見られる内容を送る。
『もちろん行こー!』
その裏にあるのは、いつまでもずっと一緒に過ごしたい。
サークル情報
サークル名:シュガーアイス
執筆者名:まつのこ
URL(Twitter):@simca_ac
一言アピール
畳の人です!……は冗談として、創作BLから王道ファンタジーまで、小説たくさん書いてます。甘々が得意です。