文通
へにゃらぽっちぽー兄さんは海に浮かんでいます。ぷかぷかおひるねをしていると、たぷたぷしたおなかになにかがあたりました。
「ぽ?」
なんだろう。瓶です。中に紙が入っているなあ。とりあえずもってかえりましょう。
「へにゃらぽっちぽー!」
「へにゃぽ!」
へにゃぽちゃんと一緒に開けてみます。
《こんにちは》
「へにゃらぽっちぽー!」
「へにゃぽ!」
あいさつを返します。
しかし、紙にあいさつをしてもおへんじはありません。どうしましょう。
「にゃにゃ……へにゃぽ!」
思いつきました。こういうときは文通をするのです。
へにゃらぽっちぽー兄さんは「へにゃらぽっちぽー!」と書いた紙を、へにゃぽちゃんは「へにゃぽ!」と書いた紙を瓶に詰めて海に投げ込みます。どぼん。
砂浜に手紙の入った瓶が流れつきました。「ぽっちぽ!」「にゃぽ!」と、取り出します。
《カワハギはおいしいですよね、ぼくはヒラメもすきです》
なんだか唐突です。「ぽぽ?」「にゃぽぽ?」と首をかしげてしまいます。どうやらちがうひとと文通をしている方が書いた手紙のようです。
ふたりは郵便局に向かいます。おてがみを書いたひとと文通をしたいのですがどうすればいいですか。
「ハガキを使うと便利です」
ハガキは白い紙でできているので、お伝えしたいことを書くことができます。そしてあてさきまで届けてもらえるすぐれものです。へにゃらぽっちぽー兄さんは「文通をしましょう」と、へにゃぽちゃんは「もしよかったらお話をしませんか」と書いてそれぞれポストに入れます。「おてがみを書いたひと様」と、あてさきを書きました。
《おてがみを書いたひとです。ぜひ文通をしましょう》
《おてがみを書いたひとです。私もお話がしたいです》
帰るとふたりに手紙が届いています。
「へにゃらぽっちぽーです。よろしくおねがいします」
「へにゃぽです。どこに住んでいるのですか」
返事を書きます。
「ぽっぽー」
鳩さんがいます。
「私は手紙を届ける仕事をしているのです」
ではおねがいします。
《鳩さんが届けてくれました》
《浜辺の家に住んでいます》
手紙がやってきました。
「ハトサンカッコイイ」
「ウミガミエルノハヨイイエ」
電報を打ちました。
手紙を受け取ると、へにゃらぽっちぽー兄さんとへにゃぽちゃんは返事をいろいろなひとに託します。マラソンをしているひと、飛脚のひと、馬に乗っているひとが届けてくれました。文通は多くの方々に支えられて続いていくのです。
のろしや手旗信号でも返信をしました。ファックスや電子メールも送ります。
手紙が届きます。
《もっとお話をしたいです》
《あそびにいってもいいですか》
もちろんです。
「へにゃら、へにゃら、へにゃらぽっちぽー!」
「にゃぽ、にゃぽ、へにゃぽ!」
おてがみを書いたひとに電話をかけて、おおいに歓迎いたしますとお伝えしました。
「こんにちは」
おてがみを書いたひとがやってきました。こんにちはこんにちは。
「もっとお話がしたくなったのです」
「おてがみを書きますね」
たくさんの紙にたくさんのおてがみを書いていきます。へにゃらぽっちぽー兄さんとへにゃぽちゃんもペンを持って文通を続けます。
部屋の中は三人が書いた手紙で埋まります。たくさんお話ができました。
おてがみを書いたひとは「楽しかったです」と言って帰っていきます。
「へにゃらぽっちぽー!」
「へにゃぽ!」
ふたりはお見送りをしました。
《今日は楽しかったです》
《文通をしましょう》
おてがみが送られてきました。へにゃらぽっちぽー兄さんとへにゃぽちゃんはさっそくおへんじを書きます。
サークル情報
サークル名:へにゃらぽっちぽー
執筆者名:へにゃらぽっちぽー
URL(Twitter):@Henyarapottipo
一言アピール
へにゃらぽっちぽーですこんにちは。今回は拙著『ぽぽぽぽ』収録の「文通」を投稿させていただきました。へにゃらぽっちぽー兄さん、へにゃぽちゃん、そのほかのひとたちがうきうきとわくわくとしているお話が載っている短編小説集は、現在6冊刊行されております。どこから読んでもたのしいですよ。