おとどけ! ピザバッツ(3)
「いいから出てきてケツ食い縛んな、クソガキぁ!」
次世代ゆとり世代『マジュトリー』達の手により、
人々のモラルは崩壊しかけていた。
軽犯罪や迷惑行為が街に溢れ、ツイッターテロとそれを盾にした脅迫が横行し、
善良な市民は深く傷を負った。
内閣府対策本部は宅配飲食業界と連携し、警備機構『デリバー・ガード』事業を推進。
武装した配達ドライバー達による本業ついでのパトロールと実力行使で、
街の平和の回復に臨むが……。
言って聞かなきゃ殴って理解(ワカ)らす!
武装変形スリーターのチェイス&バトルで、己の正義を押し通せ!
これは、小さな何かを明日につなぐ為の、
ゆとり矯正ケツバット・ファンタジーである。
(著作者サイトより)
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おとどけ! ピザバッツ(1)
おとどけ! ピザバッツ(2)
まだトオノさんの本を読んだことが無かった時代──タイトル&表紙買いだった。
なんたって「おとどけPizzaBatz」である。ピザデリバリー風の絵柄の表紙なのに、どこかデンジャラスな香りがする。挑戦的に読者を見上げる丸っこい女性。苦笑いでスリーターにしがみつく悪ガキそうな青年。
赤と黒の印象の残る表紙は、Pizzaとタイトルについてるのに、夜の都会を彷彿とさせ、平和な気が何故か全くしない。
面白いはずと確信していたサークルで(作者)あったことも確かだが、本当に衝動買いだった。
中身は期待違わず。
時には声を立てて笑い、時には上手いとうなり。手頃なページ数(文庫:134P)ということもあり、一気に読み終わっていた。(300あるとさすがに一気読みはリスキーだ!)
初めはカッコイイ! だった。まぁ、最後までカッコイイが。ケイコさん、惚れるぜ!
主人公は誇りをもって、けれど痛い部分も自覚しつつ、日々を過ごしている。
時折感じる違和感は読み手にもそのままトゲのようなものとして確実に残る。
そのトゲは最後まで抜けない。抜けたように終わりつつ、けれど確かに傷跡が残っているのだ。
明快な起承転結は頭を使わずに読み進めていく必殺武器。けれどそれは、単にストーリーが浮き沈みするだけでなく、ほんのり淡い恋愛、誰もが覚えのある親子の葛藤。軽い気持ちから始まる黒歴史……細かいけれど、忘れてはいけない『日常』がしっかりあり、ほんとうにぼやぼや読んでいては、スピード感のある物語の前で、それらを読み逃してしまうという巨大な罠だったりもする。
結末があり、エンディングがある。けれど、彼らの日常は続いていく。『終わったぜ! スッキリしたぜ!』の先が透けて見えるような気がするから、やっぱり出てくる言葉は一つ、二つ。『面白かった!』そして『上手いッ!』
細かい伏線もさり気ない。読み飛ばすような一文がきっちり後で回収されている。そういう組立て方にしても『上手いっっ』のだ。文句なく。
良い買い物だったと胸を張って言い切れる。