黒ねこのしっぽを切った話

 
黒ねこのしっぽを切ったら正面がどちらかわからなくなったのだ

 

黒ねこのしっぽを切ったらわからない番号ばかり電話が来るのだ

 

黒ねこのしっぽを切ったらEメールを送っても送っても戻ってくる

 

黒ねこに許しを請いに出かけたが夕方なので道が違った

 

観覧車にたった一人で乗り込めば犠牲は私だけで済むのだ

 

黒ねこのしっぽ自体は切ったとき”私ではない”と言って消えた

 

大切なひとが犠牲になってでも一生ぐっすり眠れなくても

 

幸運をもたらしたのが自分だと思ってもみない黒ねこだった

 

いつのまにしっぽの生えた黒ねこが他人んちの子として眠っている


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執筆者名:壬生キヨム

一言アピール
短歌とボーイズラブ小説。
恋愛関係かどうかはともかく、人間関係ではある短歌をつくっています。

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