ご自宅用
「ご自宅用ですか?」
そう聞かれ、思わず「はい」とうなずいてしまった。
気付いたときにはもう、一輪の豪奢な赤い薔薇は無骨なクラフト紙に包まれていた。
自宅に持ち帰るのは間違いないのだけれど。
やっぱりプレゼント用に包んで欲しいと訂正できずに薔薇を受け取り、店を出たところでため息が零れた。
新聞紙じゃないだけまだマシだろうかと思いながら、僕は予約していたケーキを受け取りに行く。
サークル名:オレンジ宇宙工場(URL)
執筆者名:葉原あきよ一言アピール
超短編を書いたり、豆本を作ったりしています。このくらいのサイズの話が多いです。