2018年5月9日 / 最終更新日時 : 2018年5月9日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 ひとり島 カンカンカンと、くもりのある高い音が響いてきた。おや、と、首をかしげながら軒をのぞくと、今年六十五になる父親が、かんなの尻を叩いて刃を調節していた。 「なにしとるん?」と、尋ねたあとで、丸太のようなあぐらに隠れていた鰹 […]
2017年8月15日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 マッコウクジラ 人間、といういきものを知っているか? あの賢しく傲慢で悪食の、二本脚のいきもの。 まあ、こんな浅いところにいるのなら、見たことくらいあるよな。イカも、マグロも、ときには地底のヒトデさえ分別なくさらうあの大きな網の船を […]
2017年1月22日 / 最終更新日時 : 2017年1月21日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 ゆめのむすめ 男 さらさらと髪を撫でる音で目をさました。ああ、また眠っていたのだ。――――後悔と羞恥におそわれて寝たふりをつづけようと目をとじたままでいると、かれの指が耳殻のピアスにふれる。これも、いつかのみやげだ。 世界の […]
2016年10月19日 / 最終更新日時 : 2020年8月21日 Review Review 喫水線 「海洋(浅め)」をテーマにした短篇2篇を収録。 「海面のクラゲ」 (渦保) 宇宙のどこかにあるという水の星。海のあるこの星には資源豊かにあふれ、生命の魅力が輝いている。この世界では今までたくさんの人類が繁栄していった。 […]
2016年2月15日 / 最終更新日時 : 2016年2月16日 straycat テキレボWebアンソロ 猫の王 猫の往来ばかりしかない、その狭い空間を、ぼくは王国と呼んでいた。 握りつぶされた発泡酒の空き缶が転がり、食い散らかされたキャット・フードとその袋もしたいままに放置されて、雨が降ると猫の尿と下水のにおいがする、雨が降ら […]