解放弦―The released string/愛の夢


歌姫と侍女。遠い昔に交わした約束。
息が詰まるようなガールズラブ・ノベル。
ヒロイン☆ふぇすた!サイトより)

※シリーズ2冊をまとめた感想になります。
 →解放弦―The released stringの感想は他にもあります。

 内に秘めた、腐った異臭を放つような、醜いが真実の想い。
 それが辛い!!辛い故にそれが良い!! これまさしくぞ、辛く苦しい、しかし一途で美しい片思いの物語。

 天使と呼ばれる唯一の歌姫・レシカに恋してしまった「もう一人の歌姫」ジラ。
 でもその恋心は、身分と性別、そして歌によって表に出すことは出来ない。ジラの中で腐り、時には喉を焼く想いになる。決して美しいものではない(と、ジラ自身は思っている感情)が、その一途さがたまらなく好きです。
 私にとってはレシカもジラも、美しい天使の姿で瞼に浮かびます。

 キャラクターの心情描写は、読み手である自分さえも、内臓や喉を溶かすような苦しみと、恋焦がれる甘い想いどちらも強く感じられます。
 時折挿入される「天使古語」で綴られる詩の美しさ、伸びやかな歌声の描写は、紙面からあふれ出るような美しさで読み手の心を打ちます。
 そして続刊の「愛の夢」では、更にきらびやかな街と小物の描写に加え、「閉鎖都市」といわれる街・アンジェリカと共に、レシカとジラにも関係する、大きな謎があることが示唆され、物語を追う楽しさが一層増しました。
 
 作品紹介にある一文「息が詰まるようなガールズラブ・ノベル」。
 一途な片思い大好きな人間なら、一度読んだらその沼にはまること間違いなしの一作です。


発行:冬青
判型:解放弦―The released string(A5 78P)、愛の夢(A5 60P)
頒布価格::解放弦―The released string(800円)、愛の夢(600円)
サイト:siren to noise
レビュワー:服部匠