カラスが住む庭


「あそこには危険を冒してまで、カラスがたかるだけのものが潜んでるからな」
 
 高校から帰る白永裕士の前に現れたひとりの男。その男が持ってきた情報は、十数年前に姿を消した兄のものだった。半信半疑になりながら「カラス通り」の一角にあるカフェに向かうと、情報通り少女とカフェを営む兄の姿があった。だが、戸惑いながらも再会を終えた裕士に、先ほどの男が再び現れて言ったこととは──。
高校生が裏通りで奮闘する、現代ファンタジー。
(裏表紙より転載)

主人公が失踪していた兄に再会するところからはじまる現代ファンタジー。
どうして兄は失踪したのか。その理由であろう人々の絡む事件に主人公は巻きこまれていく。
登場人物たちの在り方や、ぐいぐい物語にひきこまれていく展開。『カラス』や『薔薇』といったモチーフの使い方の巧みさ。優しくも鋭い、それでいて読みやすい筆致。それらのすべてをもって、出会えたことが嬉しくなる作品でした。


発行:秋水
判型:文庫 218P 
頒布価格:頒布終了
サイト:秋水
レビュワー:南風野さきは