2020年10月30日 / 最終更新日時 : 2020年10月29日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 手紙/電気信号/朝型 なかなか寝つけなかったあなたは、ラジオをつけ、パソコンで書き物をしていた。時報がポーン、と鳴る午前三時。もともと朝型であるうえに、最近とみに目が覚めやすいあなたは、この時間に始まる番組のオープニングとも耳なじみになって […]
2020年10月29日 / 最終更新日時 : 2020年10月28日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 貴重なご意見ありがとうございました 『レジの――とかいう人、あいそ悪い。前から思ってました。どんな教育してるんですか? ちゃんと注意してください』 名前の部分は黒塗りにされていたが、すぐに彼女のことだと思い当たった。 さすがに直視するのは悪い気がして、盗み […]
2020年10月29日 / 最終更新日時 : 2020年10月28日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 鏡の森の魔女たち 夜の底に沈む帝都に、ガス灯がぽつりぽつりと橙色の光を落とし、周りを囲む闇を色濃く映しだしていた。その闇のなかに紛れるように、新しく建築された洋風の建物や古い平屋の家々の屋根のうえを飛びながら移動する影。着物の袖をはため […]
2020年10月29日 / 最終更新日時 : 2020年10月28日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 思いを運ぶ手紙 一目惚れと言うものがあるのだと、その瞬間、全身で実感した。 僕の心は打ち震え、すべての細胞に彼女の姿を刻みつけた。 出会いは偶然だった。たまたま通りかかったスタンドカフェのカウンターで働いている彼女を見つけた。 彼女 […]
2020年10月28日 / 最終更新日時 : 2020年10月27日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 戦場跡地にて 半年前までは美しい花々と瑞々しいベリーが実るのを心待ちにしていたアドアナフィールドも、今となっては塹壕によって緑は剥げ、人々の踏み荒らして出来た泥に覆われていた。坂の上からその様子がよく見えた。つま先で土を掘れば、時折 […]
2020年10月28日 / 最終更新日時 : 2020年10月27日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 BAR NAGOMI -青月- 『我が家にも新しい家族が誕生し、にぎやかなお正月を迎えています!』『子どももついに四月から小学校に入学します☆』『我が子は最近スイミングを頑張っていて、親は送り迎えの日々で大変です(汗)』 今年もまた同級生から届いた数 […]
2020年10月28日 / 最終更新日時 : 2020年10月27日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 透明な情緒の訳し方 透明な情緒の訳し方を見失った時、沙弓さゆみはいつもベランダに出る。風に当たってぼんやりと思考の流れを止めていれば、自然と答えを見つけられた。 マンションから遠ざかっていくトラックを手すりに寄り掛かって見送ると、少し肌寒 […]
2020年10月27日 / 最終更新日時 : 2020年10月26日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 見えぬ糸の先 ミーランヤには兄がいる。ふたつ年上だがこれが本当に手が掛かる。 腰紐は必ず縦結びだし靴もよく脱げる。農具をしまわせれば泥の着いたまま放り込み、洗濯を任せれば灰汁も使わず絞りが甘いまま紐にかける。兄の中の及第点はとても低 […]
2020年10月27日 / 最終更新日時 : 2020年10月26日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 言葉無き文 「姫様、姫様! 今日も、あの文使いが来ておりますよ」 乳母めのとが嬉しそうな声をかけてくる。その様子に、斐子あやこは「あら」と言って立ち上がった。「菖蒲あやめの君から?」 乳母に冷やかされるのが気恥ずかしくて、斐子は文の […]