2020年10月14日 / 最終更新日時 : 2020年10月13日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 桃膠 姉が鬼籍に入ったので、桃の樹の根本に埋めることになった。 この地域の古い慣わしに従う形だ。うちはそんなに由緒のある家柄でも無いのに、と最初は近所に恥ずかしいような気がしたが、姉さんをきちんと弔ってやらなぁ、と語尾を湿らせ […]
2019年9月11日 / 最終更新日時 : 2019年9月11日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 アンダーバー&ダブルクォーテーション 叫んだときに一番カッコいい記号の名前は、「アンダーバー」だと思っている。漫画とかアニメのヒーローの必殺技っぽい。ぜひポーズを決めながら、高らかに大声で叫びたい。必殺! アンダー・バー!!そんな話を夫にしたら、「ダサくない […]
2017年9月1日 / 最終更新日時 : 2017年9月1日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 夏蚕(抄) 「村の奥には神社がありました。坂の上にある、村で一番大きな神社です。 村人がその神に願うのは、魚の大漁や、海上の安全です。年に一度、八月の末。夏の終わりに村人たちは、海上に飾り立てた船を浮かべ、沖に向かって漕ぎ出します […]
2017年1月23日 / 最終更新日時 : 2017年1月22日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 花葬 「花のね、露を飲むのです」 そう言って彼女は胸に手を当てて、にっこりと微笑んだ。 「露を……」 「ええ。薔薇の花弁のふちに溜まった、朝露を毎朝ひと口ずつ。それだけですわ。他には何も口にしませんの」 「それだけであなたは […]
2016年2月19日 / 最終更新日時 : 2016年2月19日 straycat テキレボWebアンソロ 『猫に関する考察』より、名前について 屋敷に住むその少年は、黒と白と茶トラのたいそう見分けやすい三匹の猫を飼っていた。彼は自分の三匹の猫たちに《初恋》だとか《まどろみ》だとか、《天文学》だとか《空腹》だとか《モーツァルト》だとか、いつも好き勝手な名前を付け […]