2019年8月26日 / 最終更新日時 : 2019年8月25日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 想像の原資 科学は人々が想像できる未来を作る力を持つという。 その裏には誰も想像がつかないような未来は妄想と同じだという考えがある。 ――ならば私は妄想の世界に立っているということに と楓は高楼に囲まれた帝都のただ中で足をすくませ […]
2019年8月21日 / 最終更新日時 : 2019年8月20日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 小説と想像 想像は小説の執筆に欠くべからざる力であるかのように思われている。 小説を書いている者は世間では想像力が豊かと見なされているし、また書く側も、小説は想像力によってものされる技芸であると思いがちだ。それはおそらく誤りではな […]
2019年2月12日 / 最終更新日時 : 2019年2月11日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 黄色い疵 「お疲れ様です」 あまりにだしぬけに声をかけられて、市谷いちがやはぴんと背筋が伸びるほど驚いた。 耳の真裏からかと思われるほど間近からの呼びかけだ。声こそあげなかったものの、びくついた拍子にそれまで片手で遊すさんでい […]
2017年9月1日 / 最終更新日時 : 2017年8月31日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 消えるも深めるも 「エンニチに行ってみない?」 親友の絵梨えりが口にする聞きなれない単語に僕は首を傾げる。 「社会学の実地調査なんだけど、ちょっと遊んでいきましょうよ」 「実地調査なのに遊び?」 「そうよ瞭りょう、遊んでもいけるのよ。 […]
2017年2月4日 / 最終更新日時 : 2017年2月3日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 契情騙記 布団を脱ぬけ、障子をそっと開ければ、客待ちの車力しゃりきの談笑が聞こえてくる。向かいの〇まる鉢はち屋の軒下にずらりと連なった俥くるまが、口開けを静かに待っていた。こちら側にも同じように並んでいるのだけれども、軒の陰にい […]
2016年8月19日 / 最終更新日時 : 2020年8月21日 Review Review 言伝は時計にのせて どうして口下手に生まれついたのだろうか 機械が相手でなくてももっと雄弁でありたいものだ 口下手は口数が少ないから口下手なのではない 気持ちの表し方を知らないから口下手なのだ 機械の修理などを手がける […]
2016年3月26日 / 最終更新日時 : 2020年8月21日 Review Review 手向けの花は路地裏に 〈蒸気都市〉帝都は世界随一の規模を誇る大都会だ。 街は科学の恩恵に支えられ、人の暮らしには蒸気機関が欠かせない。 だが、こうした大都会には往々にしてひずみが生じやすいものである。 それはときに貧富の差の拡大という形で路上 […]