2020年12月18日 / 最終更新日時 : 2020年12月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 僕が姉上への文に紙を使わない理由 せせらぎが、山の空気が肌に耳に心地よい。滝に向かって歩むうちに、笑いさざめく声が聞こえて来た。あの声は妻だ。 沈みつつある日を感じながら、足を早めて滝に向かう。予想通り妻は氷高内親王の・・・・・・いや、天皇の傍らに居た […]
2019年8月18日 / 最終更新日時 : 2019年8月18日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 折句短歌 鳥十題 ヤタガラス やわらかにタンポポ綿毛ガスタンクランプの傘にすらっと積もる テラツツキ テキストの羅列ながめるつながりが津波のように君へと流れ シラコバト 蜆買いらっきょう漬ける子供らとバランスゲ-ム取ればゆらゆら コノハズ […]
2019年7月20日 / 最終更新日時 : 2019年7月19日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 千年の後に辿る人 なんて素敵にジャパネスク 2次創作 電車がホームに入りかけたところで席を立った。駅名に山が入っているだけあって、周囲は緑が濃い。京都からみやこ路快速に乗って、歌枕の地を過ぎ奈良県に入ってすぐのJR平城山ならやま山駅 […]
2019年1月30日 / 最終更新日時 : 2019年1月30日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 青蓮華寺に花満ちて なんて素敵にジャパネスク 2次創作 -------------------- きょっきょっきゅっきょっっ・・・・・・きょっきょっきょっ。 「あっ、時鳥ほととぎす」 庭先からの鳴き声に腰を浮かすと、さやかな衣摺れの音がし […]
2019年1月11日 / 最終更新日時 : 2019年1月10日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 折句(おりく)短歌 花十題 花十題 ツボスミレ 釣り人を 墨汁(ぼくじゅう)で書き 水面に 見る目さやかに 蓮華をうつす カキツバタ 雁が飛び キツツキ木立(こだち) つつきあう 晩が近づき 田鶴(たづ)かえりゆく クレ […]
2018年5月10日 / 最終更新日時 : 2018年5月9日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 別れ 御台所みだいどころのもとへ、はやる心を抑えつつ歩むと打ち伏している女が進む先に見えた。日の出の時刻を過ぎているが空はどんよりと曇り、周囲はまだ暗い。起き上がる気配も無い女は、喪服である藤衣ふじごろもを纏っている。御台所 […]
2017年8月21日 / 最終更新日時 : 2017年8月20日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 対面 挨拶の口上を終えしばらくすると御簾みすが巻き上げられ、藤の襲かさねの色目がちらりと見えた。 袖から覗く指先に握られた扇が見え、思わず視線を下げる。晴れてはいるが、三月に入ったにしてはまだ風が少し冷たい。 微かに漂う袖 […]
2017年1月20日 / 最終更新日時 : 2017年1月19日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 母猫は浄瑠璃すたあの夢を見る 柔らかな日差しが降り注ぐ、昼下がりのことでございました。道頓堀の芝居小屋にほど近い、日本橋の猫宿屋から悲鳴のような叫びがあがったのは。 「にゃにゃにゃんですって」 「かか様っ、我らを売り飛ばすおつもりですかっ」 高いと […]
2016年9月4日 / 最終更新日時 : 2016年9月3日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 遠く離れて大和をおもう 水面を滑るような静かな足取りで、膳を捧げ持つ媼が来るのが見えた。しなやかな水鳥に似て、裳裾もすそはかすかな揺らぎを見せるだけである、膳にはこの地の産物であろう魚や若布、野菜を用いた品々が並んでいて、かつての京みやこでの […]