2019年2月4日 / 最終更新日時 : 2019年2月3日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 インド水塔 朝七時三十分の光は斜めから射し、影は青みを帯びている。橋の上の小石の粒、砂粒ひとつひとつにも影がある。ごく小さいが、ちゃんと斜めに伸びている。男の子は発見し、よろこんだ。一月。弱い光がしかし金色に、橋やベンチを照らして […]
2019年2月3日 / 最終更新日時 : 2019年2月2日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 花の命は短くて 彼女は『花』が好きだった。 その『花』はとても美しく、時に人を神秘と魅惑の世界にいざなう。しかし、その『花』はとてもはかなく、ひとたび手に取るとたちどころに消えてなくなってしまう。人々はその『花』を、ある時は一瞬の美 […]
2019年2月3日 / 最終更新日時 : 2019年2月2日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 青に溺水 水川玲という人間を喩えるとしたら、俺は水だと答えるだろう。 掴みようのない、捉えようのない――たとえ手ですくったとしても指の隙間から少しずつこぼれ落ちてなくなってしまう。無色透明なのに綺麗な青色として目に映る、水。 確 […]
2019年2月3日 / 最終更新日時 : 2019年2月2日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 桜詩/裏桜詩 「桜詩」 夜桜に 何を想うか 彼の乙女 想いは叶うと 今はまだ知らず 「裏桜詩」 夜桜に 何を想うか 彼の乙女 叶わぬ 想いに 世を怨む 人を怨み 自らを怨み 虚しきと知りつつも 止めることをせず その怨みは 己をくるは […]
2019年2月2日 / 最終更新日時 : 2019年2月2日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 心のなかに 僕は一つの大きな種だったのだと、彼女は言う。 アンナが裏庭を歩いていたら、大きな種が落ちていて。触ったらパンと弾け、ぐっすり眠る幼い僕が出てきたのだと。 そんな荒唐無稽なことあるものか。 僕はただ単純に庭先に捨て […]
2019年2月2日 / 最終更新日時 : 2019年2月2日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 チアップ・ナップ 【名称:フラワードラゴン】 【属性:植物・花(ピンク)】 【外見:体長2m。全身桜色で部分的にムラがあり、腹部は白に近い。瞳は濃淡のある緑。鱗は非常に柔らかい(花弁に似ている)】 【性格:陽気、気まぐれ、人懐っこい】 【 […]
2019年2月2日 / 最終更新日時 : 2019年2月2日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 特別な花 事の発端は、所用で街に出たことだった。 騎士団本部における勤務中の用向きであるからして、もちろん服装も制服から改めることはない。それが裏目に出た、といえば、それもそうだろう。 ダヤリーズ王国西部に位置する地方都市の […]
2019年2月1日 / 最終更新日時 : 2019年1月31日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 カルミア・ラティフォリア 「水無瀬みなせさんの家ってお花屋さんなんだよね?」 「そうだけど」 席替えで隣になったのは、いつもあたりに真っ白な光を振りまいているような女だった。麗うららなんていうご大層な名前にも負けないくらいの美人。けれど人懐っこ […]
2019年2月1日 / 最終更新日時 : 2019年1月31日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 手に蕾む 静鉄清水線日吉町駅から徒歩3分、住宅街だが、鷹匠は個人小売店が多い。この店は10年前親父が改築し、まわりのこぎれいなマンションに埋もれないよう店構えを変えた。そうはいっても祖父の代から続く和菓子屋、和菓子らしさは捨てぬ […]
2019年2月1日 / 最終更新日時 : 2019年1月31日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 BAR NAGOMI -真心- 四月第一周目の土曜日。阪神エリア有数の景勝地として名高い、兵庫県六甲山地から西宮市南西部を流れる、夙川。その河川敷は夙川公園と呼ばれ、桜は約千六百本も植えられている。この時期、ソメイヨシノを中心にヤマザクラやオオシマザ […]