2020年12月1日 / 最終更新日時 : 2020年11月30日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 メイルガール あたしのポジションはシューティングガード。外から射抜き、中へも切れ込む。ボールをただリングの中へ届けることがあたし――帆瑞千春の仕事なのだ。「ナイッシュ、千春!」 春季の地区交流大会は強豪校が軒並み崩れ、大番狂わせが起 […]
2020年12月1日 / 最終更新日時 : 2020年11月30日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 里帰りの手紙 ――へ、あっちでは退屈たいくつしてないですか。『便りが無いのは良い報しらせ』とは言うけれど、送り続けていたら、まさか駅で会うなんて。それでも、この手紙はまた送っておくね。 ところで、見たとおりだと思うけど、今年も、いつも […]
2020年12月1日 / 最終更新日時 : 2020年11月30日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 拝啓、お義母さん 『晩秋の候。日に日に気温が下がり、朝晩は冷え込むようになってきました。富士山は初冠雪となり、今年もあと数ヶ月で終わる準備が始まったように思えます。 お義母さんがいなくなったアパートの部屋を、トオルさんと片付けるのに二ヶ […]
2020年12月1日 / 最終更新日時 : 2020年11月30日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 娘から父へ 風が吹いていた。 何もかもを吹き飛ばして、息も止まりそうなほど。「明日まで連れてきちまいそうだな」 その力強い拳で祈りを捧げながら、男は呟く。 草むらに横たわった身体は変色していた。上半身は内出血で赤紫に腫れ、右足は破 […]
2020年11月30日 / 最終更新日時 : 2020年11月29日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 形見 小説の題材にしようと、手元にあるハガキを眺めている。 遠い昔、小学二年生の秋のこと。何の授業の時間だったか、教室に先生の声が響く。「間もなく敬老の日です。今日はおじいちゃんやおばあちゃんに手紙を書きましょう!!」机の […]
2020年11月30日 / 最終更新日時 : 2020年11月29日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 KK的幸福論 二学期最初の登校日、生徒のテンションは両極端だ。 夏休み明けでハイになっているか、徹夜で宿題を終わらせてヘロヘロになっているか、大体この二パターンに分かれる。 三年の二学期ともなると、例年よりは後者の割合が増えているよ […]
2020年11月30日 / 最終更新日時 : 2020年11月29日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 オオルリと少年 大きなブナの木の枝に止まってうつらうつらとしていたわたしは、聞き慣れない人間の声で目を覚ましました。 声の方を見下ろすと、真新しい白い制服を着た男の子が二人、森の小径を歩いて来ます。大人と呼ぶにはあまりにもあどけない彼 […]
2020年11月30日 / 最終更新日時 : 2020年11月29日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 勇者への督促状 拝啓 人類を滅ぼさんとした魔竜を打倒せし勇者 厳しい寒さも和らぎ、冬蒔きの小麦が芽生えを迎える今日この頃、如何お過ごしでしょうか。 流行りの風邪で我が医院はこの冬多忙を極め――お伝えしていませんでしたが、あの旅の後、 […]
2020年11月29日 / 最終更新日時 : 2020年11月28日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 長老の寝床に置かれていた手紙 ―――親愛なる我が兄弟へ。 私の罪の告白を聞いて下さい。私は生涯に渡り、この罪を誰にも聞いて貰うことは出来ませんでした。もし聞いてもらえたなら、このように死が近づく今、筆を執ろうとは思わなかったでしょう。況して今の私に […]
2020年11月29日 / 最終更新日時 : 2020年11月28日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 届かないチョコレート 繰り返し夢に出てくる人がいる。名をYという。 Yは私がつらい時に限って夢に出てくる。つらさに無自覚でもYが夢に出てくると「あ、今の私ヤバいのかも」と振り返ることができた。 夢に出てきたところでYが私を慰めてくれるわけで […]