2020年11月17日 / 最終更新日時 : 2020年11月16日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 生活指導、春風号!! 紅姉さんの勤務日誌の巻 その界隈は入り組んで、宇宙船事故が多い。破損した宇宙船が漂うと更に危険が増すという、悪循環。 すると「先飛行生物」ばかりがその場を闊歩するようになる。宇宙船が開発される前から生身で宇宙空間を飛び回っていた、便利な生き物 […]
2020年11月8日 / 最終更新日時 : 2020年11月7日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 二人で行った場所 時折、葉書が届く。 不定期に。差出人のない、葉書だ。 観光地の絵葉書で、内容は他愛ないことだ。湖面に薄氷が張っていただの、高山植物が逞しいだの、日差しがまぶしいだの、雲が淀んでいるだの。旅の感想のようなものが簡単につ […]
2019年2月2日 / 最終更新日時 : 2019年2月2日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 心のなかに 僕は一つの大きな種だったのだと、彼女は言う。 アンナが裏庭を歩いていたら、大きな種が落ちていて。触ったらパンと弾け、ぐっすり眠る幼い僕が出てきたのだと。 そんな荒唐無稽なことあるものか。 僕はただ単純に庭先に捨て […]
2018年5月16日 / 最終更新日時 : 2018年5月15日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 冒険者 水面は凪いでいた。 純也は腕組みをし、毛布の先端にあぐらをかいたまま、眉間にシワをよせる。拓実はそんな純也を、黙って見つめた。 おばあちゃんの家の押し入れにあった毛布が魔法の毛布だと気がついたのは、弟の純也だった。 […]
2017年8月23日 / 最終更新日時 : 2017年8月22日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 彼女の笑った日 ぱぁん ぱぁぁん 音がする。何だろう……。 はっと、私は目を覚ました。 寝室のベッドの上で、スーツのまま転寝をしていた。頭の中に少し酒が残っているのが、自分でわかる。 窓のカーテンの隙間から、薄日が差す。時計は […]
2017年1月26日 / 最終更新日時 : 2017年1月25日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 ねこのこ 会社の帰りにコンビニに寄って、弁当とお茶を買う。 夜道を歩いていると、「にっにっにっ」と小さな声がした。 歩道と車道を隔てる植え込みの中に、子猫がいた。生まれてからどれくらいだろうか。か細く「にっにっ」と鳴いて、見 […]
2016年9月8日 / 最終更新日時 : 2016年9月8日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 あんこの幸せ 「私はねぇ。水まんじゅうのあんこになりたい」 チヨは時折そんな風に、唐突に言いだす。カヨはいつも「ふぅん」と相槌を打ってから、「え、なんだって?」と聞き返す。 「暑い日にさ、どこか涼しい所はないかな、でもクーラーの風は嫌 […]