2020年11月15日 / 最終更新日時 : 2020年11月14日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 星をおとす ぴんぽーん。「はい、サンタクロースです」 頭がおかしくなったのかと思った。 いろんな意味で。「サンタ」「はい」「なんで」「なんで、って」 寒くないんだろうか、など、混乱のあまりどうでもいいことを思う。 目の前の、これか […]
2020年11月15日 / 最終更新日時 : 2020年11月14日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 夢の終わり その日は突然やってきた。 前から覚悟はしていた。 その仕事をしていれば、そういうこともあるかもしれない、とは言葉を理解するようになってからずっと言い聞かせられていた。 そして、そうなった時、自分がその仕事を受け継ぐとい […]
2020年11月15日 / 最終更新日時 : 2020年11月14日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 君の夜に僕は目覚める BAROQUE 2次創作 僕は病気が嫌いじゃない。 病気になると世界がとても優しく、そして親しくなるからだ。物心ついて間もなかった幼い頃、熱を出して寝こんだ僕の燃える額にそっと触れた母さんの手の、ひんやりとした心地良さ […]
2020年11月14日 / 最終更新日時 : 2020年11月12日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 「したためる」 「したためる」 書いては消し書いては消し言えない想いと消しゴムカスの山 打っては消し打っては消しEnterできない迷いとDeleteした文字の山 浮かんでは消し浮かんでは消し募る気持ちと会えない時間の山 したためた言葉に […]
2020年11月14日 / 最終更新日時 : 2020年11月12日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 あなたに愛を伝えるために、わたしは今日も、黒く塗りつぶされる文字を綴る 愛の言葉を言えない。 「好き」っていう二文字も、「大好き」って四文字も。 あのとき言いたかった「愛してる」っていう五文字も。 たったの数文字。でも言うってなったら緊張しちゃう、愛の告白。 もしあの頃。 あなたに言 […]
2020年11月14日 / 最終更新日時 : 2020年11月12日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 Bの行方 外はひどい雨だったから、ベスの両頬を伝ういくつもの水滴の、どれが涙なのか分からなかった。 たいてい、彼女は来店するなり「甘くて酔っぱらうやつを頂戴」と言う。それをちびちびやりながら、仕事の愚痴か、男の愚痴か、自分の人生 […]
2020年11月13日 / 最終更新日時 : 2020年11月12日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 拝啓、十四歳の私。 拝啓、十四歳の私。あなたからの手紙はけっきょく届きませんでした。 あなたが私にあてて手紙を書いてくれたのは、たしか修学旅行の二日目の夜のことでしたね。……あれ、一日目だっけ? いや、そんなに早くクライマックス持ってこな […]
2020年11月13日 / 最終更新日時 : 2020年11月12日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 見えない言葉 山茶花の花咲く門を越えた所の白く小さく上品なその家に、彼女は住んでいる。 郵便でえす、と大きめの声を出しながら扉を叩くと、彼女の為のドアベルがちりんちりんと向こう側で心地良く鳴り響く。「いらっしゃい、庭にいるわ」 彼女 […]
2020年11月13日 / 最終更新日時 : 2020年11月12日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 秘息往還 一通目 廬智蓉ろちようより燕景仙えんけいせんへ 燕景仙殿 冬至も過ぎて、沈々と冷える日が続いておりますが、息災でいらっしゃいますか。小職は冬至に合わせて小豆粥を食し、祇堂に拝しました。営む者が独りとなっても、祖上先祖 […]
2020年11月12日 / 最終更新日時 : 2020年11月11日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 白銀のベール 赤、黄、紫。色とりどりの花弁が、銀糸を織り込んだ花嫁のベールへ降り注いだ。 この村の伝統的な婚礼行列が、緩やかな坂を上る。 新郎新婦の先を歩く子供達が、常緑樹の枝を振る。枝先で、鈴が軽やかに鳴った。人生の先達は沿道に並 […]