2016年2月26日 / 最終更新日時 : 2016年2月26日 straycat テキレボWebアンソロ とある猫の半日 私は猫である。気ままに、ほんのちょっぴり真面目に野良生活をしている。日向ぼっこして、週に何度か公園に行っては人間からのごはんにありつく、そんな生活をしている。最近野良保護と称して、定期的に世話をしたがる人間が多くなって […]
2016年2月26日 / 最終更新日時 : 2016年2月26日 straycat テキレボWebアンソロ Help me! よく晴れた初夏の昼下がり。司法精神医学研究センターの建物の前で、くしゃくしゃになった白衣を着た男が、ポケットに手を入れて空を見つめていた。新人刑事の羽鳥はとりは眉をひそめて、「槇まき先生?」と声をかけた。 彼は鑑定医 […]
2016年2月26日 / 最終更新日時 : 2016年2月25日 straycat テキレボWebアンソロ 私と僕の異世界旅行記~猫編~ じーっ。 そんな効果音がつきそうだ。 「……空鵝くうが」 「ん? なに、舞弥まいや」 声をかければ、やっとその視線が外れてこちらを向いた。そのことに覚えた優越感を無視しながら、再び声をかける。 「いや……なんでそん […]
2016年2月25日 / 最終更新日時 : 2016年2月25日 straycat テキレボWebアンソロ 流星猫と狩人 両手で構えた猟銃の重みが、肩と腕を圧迫する。防寒着の隙間から入り込む夜風が、滲み出る汗を冷やした。 頭上には満天の星空が広がり、暗闇ばかりの地上にわずかばかりの光を注いでいる。 冬の平原。少年は仲間たちと共に、ここ […]
2016年2月25日 / 最終更新日時 : 2016年2月25日 straycat テキレボWebアンソロ Black Cat じわりじわりと辺りに立ちこめる生温かい空気が肌に触れ、腕や額から汗がにじみ出る。まだ七月に入ったばかりなのに、夏の暑さは容赦がない。 どこかうつろな顔で、無意識のうちに華代はふーっと深いため息をつく。毎日続く暑さも厄 […]
2016年2月25日 / 最終更新日時 : 2016年2月24日 straycat テキレボWebアンソロ 南泉さんの猫事情 彼は、ただただじっと、いつもそこに佇んでいた。 ある一点、というより、そこに描かれた「モノ」を眺めていた。 ここは徳川美術館。 愛知県名古屋市にある、尾張徳川家伝来の調度品や武具、茶器、着物などを展示する、日本屈指の刀剣 […]
2016年2月25日 / 最終更新日時 : 2016年2月24日 straycat テキレボWebアンソロ シュヴァルツカッツェ 「これで五件目か。」 マテーウス・エーレルトは死体を眺めながら、やれやれと溜息をついた。 マテーウスはモーゼル地方ツェル村出身の刑事で、彼はこの連続殺人事件を追っている刑事だ。 ドイツ・モーゼル地方ではここ数ヶ月、連続殺 […]
2016年2月25日 / 最終更新日時 : 2016年2月24日 straycat テキレボWebアンソロ 猫と女人 とざい、とーざい。これよりお話申し上げますのは、皆さまお馴染みの譲寧ヤンニョン大君漫遊記の番外編であります。厚伯(譲寧大君の字あざな)さまは、今回はどんな騒動を起こすのやら。しばらく、お付き合いのほどを。 * * * […]
2016年2月24日 / 最終更新日時 : 2016年2月23日 straycat テキレボWebアンソロ Only a white cat knows チリン。聞き慣れた音がした。 泉は相棒の会話を遮って、窓を少しだけ開けてやる。 残暑の空気と共に滑り込んできた白猫は泉の腕を伝って肩に登り、跳躍して尋人ひろとの腹に着地した。 植込みの中でも抜けてきたのだろう、朝 […]
2016年2月24日 / 最終更新日時 : 2016年2月23日 straycat テキレボWebアンソロ ねこといぬ それはある夜の夕食時の出来事。 「明日、一緒に猫カフェに行こうよ」 彼の唐突な提案に、思わず箸を取り落として「はぁ?」と棘を返す。 「あたしが猫アレルギーなの知ってるでしょ?」 「アレルギーって言うけど、別にちゃんと […]