2017年1月10日 / 最終更新日時 : 2017年1月9日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 はすのね 全て、分かった上で祝言を挙げたつもりだった。 二鏡村ふたかがみむらという、狭い集落で想い人と添い遂げることは思いの外難しい。 殊更、村の神社を仕切っている山背家やましろけの人間と祝言を挙げるということは、ただの農家 […]
2017年1月10日 / 最終更新日時 : 2017年1月9日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 街のうつろにこだまする おいでよ。こちらへ、おいでよ。 ここは居心地がいいよ。身を切る風もなく、暖かい。 苦しいことは何もない。 悲しいことも何もない。 やらなければならないことも、いっさいない。望んでも手に入らなかったものが、すべて […]
2017年1月9日 / 最終更新日時 : 2017年1月8日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 伸縮小説『嘘吐きのピアノソナタ』 一〇〇文字の啓示 演奏を終えると、拍手の渦が彼女を包んだ。口から出る全てが嘘である彼女。その手は賞賛されるべきものであったと証明された。 **** 四〇〇文字のまじない 真っ赤なドレスの彼女がピアノの […]
2017年1月9日 / 最終更新日時 : 2017年1月8日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 たばかり 「素晴らしい」 報告書に目を通したシガナは、顔を上げて微笑んだ。その細められた紫の双眸は、寂れた薄暗い店内でも魅惑的だ。私は口の端を上げ、波打つ黒髪を背へ流す。濃紺の長衣の上で自慢の髪が跳ねた。 「さすが情報屋ミリアン […]
2017年1月8日 / 最終更新日時 : 2017年1月7日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 終わりのそのときに 「おかえりな――っ、フェルナンド、その怪我、どうしたの!?」 「悪い、仕事でマズった。……呪刻入りだ。持って明日いっぱいがいいところだろう」 部屋に入るやいなや、左手で腹を抱えながら、血まみれで床に倒れこむ。フェルナン […]
2017年1月8日 / 最終更新日時 : 2017年1月7日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 山鳩 ~まんが日本昔ばなし底本~ ※二次創作 ※原作:まんが日本昔ばなし「山鳩」 雨が降ってきた。 俺は村から伸びる山道を、そしてその道を覆い隠す山の木々を見あげた。これは大丈夫。農作業の手を止め山を眺める俺を、妻さいが覗うのを背中に感じる。それを無 […]
2017年1月7日 / 最終更新日時 : 2017年1月6日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 はなふるこよみ 川沿いの桜並木は、満開というにはまだ少し早い。くそったれな制服を脱ぎ捨て、レースとフリルに着替えた日を思い出しながら、マリは陽射しを浴びて目を細める。 午後が休講になったのはラッキーだった。週末頃に満開、の予想ととも […]
2017年1月7日 / 最終更新日時 : 2017年1月6日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 RAY ANGEL アンソロジー『嘘』REMIX この世界は『嘘』でできていることを、私は知っている。 目が覚めて、カーテンを開けた。 日曜日の朝の、透き通った空の青さが目にしみた。 窓を開けると、風が入ってくる。 春らしく、暖かくて柔らかな風。当たっていると […]
2017年1月6日 / 最終更新日時 : 2017年1月5日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 元気だよ 父と母が仲良く入院した。 最初は母で、次に父だ。 同じ病院だったが、いろいろあって、二人は別々の病室にいる。 「ねえ、お父さんは元気?」 ふと、横になってる母が尋ねた。 見舞いに来た人が持ってきた花を活けながら […]
2017年1月6日 / 最終更新日時 : 2017年1月5日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 へたないいわけ 見ていて可哀相になるくらい、嘘がへたな女である。 もじもじしながらドタキャンの言い訳を連ねている彼女を一瞥し、すぐに自分の爪の先に目線を戻す。あ、ささくれできてる、剥くと痛いかな。 ため息をつく。びくりと怯えたよう […]