2020年11月8日 / 最終更新日時 : 2020年11月7日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 宛名あり、宛先なし お父さん、お母さんへ 元気に過ごしていますか? フィスチェは元気です。 とだけ書いた白い紙に続きは綴られず、少女の乾いた掌は硝子ペンを握ったまま凝固してしまった。机を挟んだ向こう側、窓の外は深い藍と藤紫混じる空に煌め […]
2020年11月8日 / 最終更新日時 : 2020年11月7日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 酔いどれの手紙 酔いどれの朝は遅い。布団の中でスマホをかざすと、十一時を過ぎていた。昨夜はさすがに飲み過ぎてしまった。昼過ぎに出張に行く恋人を見送って、その後この部屋で一人酒盛りをしていたのだ。ドラッグストアに行って五本で五百円程度の […]
2020年11月8日 / 最終更新日時 : 2020年11月7日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 二人で行った場所 時折、葉書が届く。 不定期に。差出人のない、葉書だ。 観光地の絵葉書で、内容は他愛ないことだ。湖面に薄氷が張っていただの、高山植物が逞しいだの、日差しがまぶしいだの、雲が淀んでいるだの。旅の感想のようなものが簡単につ […]
2020年11月7日 / 最終更新日時 : 2020年11月4日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 お礼は一頭買い 小説を書きたいと色々考えていたのですが、一番手っ取り早いアンソロ参加方法として、フリーペーパーでやっているぐだぐだな随筆という形に落ち着きました。面白いかどうかを無視して、思っていることを書き散らしています。ご容赦下さい […]
2020年11月7日 / 最終更新日時 : 2020年11月4日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 尊敬する憧れのあなたに、感謝を込めて 「う〜ん……?」 貯金箱の中身を並べながら、俺……谷山傑は首を捻った。予想より少ない。そうだ、この間参考書買ったんだっけ。あと、学校帰りに肉饅買ったり……ううむ、案外使っているものだな。 高校生のお財布事情なんて、まあよ […]
2020年11月7日 / 最終更新日時 : 2020年11月4日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 手紙 町外れの骨董店には、毎日のように手紙や荷物が届く。 先日までは、息をするように居留守を使う店主と、何が何でも受け取らせたい配達員との間で激しい攻防戦が繰り広げられていたが、店番を雇ってからはそんな光景も見られなくなった […]
2020年11月6日 / 最終更新日時 : 2020年11月4日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 シルバーフィッシュの神様 「アナタが落としタのは、この和風小花柄の雅な封筒デスか? それともコッチの、箔押しがゴージャスな封筒デスか?」 川の中から湧いて出てきた仙人みたいな風貌のオッサンが、何処かで聞き覚えのある言い回しで僕に問う。 右左の手 […]
2020年11月6日 / 最終更新日時 : 2020年11月4日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 魔法薬剤師の処方箋 「ケース 水濡れ」 窓に打ち付けられる雨音が大合唱を始めだした。手製の気圧計が雷雨の接近を知らせている。こんな日は来客などないだろうと踏んで、薬剤の整理を始めたのはいいが、収集が付かなくなっていた。作業台いっぱいに広げた薬草を眺め、どこか […]
2020年11月6日 / 最終更新日時 : 2020年11月4日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 恋文御伽噺(偽) 天を突き刺すようにそそり立つ峰を持つキャレベツカ峠の山頂に薄らと雪が降り積り始める初秋にララは生まれた。 母親から繰り返し聞かされた話によると、その夜は草木がわずかに触れ合う乾いた音だけが聞こえる静かな新月の夜だったと […]