2020年10月20日 / 最終更新日時 : 2020年10月19日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 きみに届くその歌は ――まずい、間に合わない。 早く答えを写してノートを返さないと! しかし焦れば焦るほど、ペンを握る手は遅々として進まない。そのうちに騒がしかった講堂は波が引くように静まりはじめる。講義担当の主教が教壇に現れたのだ。 ― […]
2020年10月19日 / 最終更新日時 : 2020年10月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 笑っちゃうような恋文を 拝啓 なんて書いてから、堅苦しすぎるなと思った。けれど、紙を変えるのも手間だからこのままいくことにする。あまり気にしないでくれ。 こうして君に手紙を書くのは初めてかもしれない。いや、恋文といった方が合っているな。そういえ […]
2020年10月19日 / 最終更新日時 : 2020年10月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 雨雲の下に涙は落ちない 今宵の空は分厚い雲に覆われて、しとしとと静かに雨が降っている。そのため、この落涙対策基地全体にもゆっくりとした時間が流れていた。ちらほらと食堂にも待機中の隊員の姿があり、皆思い思いに過ごしている。「静かね……」 その片 […]
2020年10月19日 / 最終更新日時 : 2020年10月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 共生の祈り リタが、一通の手紙を持って帰ってきた。困った表情を浮かべて。「おかえり。どうしたの」 エンの問いかけに「これ、図書館で渡されたんだけど」と差し出してきたのがその手紙だ。「先生の名前と、僕の名前が両方書いてある。……これ […]
2020年10月18日 / 最終更新日時 : 2020年10月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 可愛い子孫には手紙を持たせよ 「カナンの地へ降り立つわが子孫へ」 この手紙を読んでいるのは、私の子孫の中で最も幸運な者であろう。百数十年の時を越え、手紙が読まれることを願う。 息子が十歳を迎える今、私は記録を後世へ残すべきと気づき、この文章を書いて […]
2020年10月18日 / 最終更新日時 : 2020年10月18日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 近くて遠い距離だから伝える手段はいつもアナログで 高校の肌寒い廊下をつかつかと進み、普段と何も変わらない教室の扉を静かに開ける。期末テストが近づいた昨今、勤勉なクラスメイトたちが早朝から暖房のよく効いたこの部屋で自習に励んでいるはずだから。邪魔してはならない・・・・・・ […]
2020年10月17日 / 最終更新日時 : 2020年10月15日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 文通 へにゃらぽっちぽー兄さんは海に浮かんでいます。ぷかぷかおひるねをしていると、たぷたぷしたおなかになにかがあたりました。「ぽ?」 なんだろう。瓶です。中に紙が入っているなあ。とりあえずもってかえりましょう。 「へにゃらぽ […]
2020年10月17日 / 最終更新日時 : 2020年10月15日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 あっち 「あっちいけ」 机の上、千切られた小さなメモ用紙に一言だけ書かれていた。 放課後になっても、あっちがどっちなのかわからない。回りを見ても、クラスメイトはくすくすと笑っているだけだ。 メモをクリアファイルに挟んで、通学 […]
2020年10月16日 / 最終更新日時 : 2020年10月15日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 ゆきの手紙 早朝──外はまだ薄暗く、カーテンの隙間を覗き見れば、前日から続く真っ白な冬景色は今も続いている。 まだ子供の《ゆき》は、熟睡している家族を起こさないよう静かに起きて廊下を歩き、お気に入りの場所である家の縁側に腰を下ろす […]
2020年10月16日 / 最終更新日時 : 2020年10月15日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 それって罪の味ですか?〜白ヤギびとは今日も暇です 白ヤギは手紙を書いた。もらった手紙への返信だった。 ありがとう。素晴らしい味だった。この辺りにはない種類の紙で、柔らかく上品な舌触り。使われるインクはほのかに突き抜けるハッカの香り。その奥に潜むは、酸化鉄の匂い。没食子 […]