2020年12月18日 / 最終更新日時 : 2020年12月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 モニター越しに 世界を変えた疫病の発生から二ヶ月ほど経過し、私の住む北ドイツの街もすっかり様変わりした。 人々の移動は厳しく制限され、今までの人生でつけた記憶もないマスクをし、家に引きこもる毎日が続く。私の勤め先もリモートワークが導入 […]
2020年12月18日 / 最終更新日時 : 2020年12月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 どんぐりドットコム 毎日がなんとなく平坦で、楽な流れに身を任せているだけで、大きな不満もないがどことなくつまらない。そんなことを考えていたある日の午前、知らない人から『どんぐり』が添付された電子メールが届いた。 ファイル名は、どんぐり。フ […]
2020年12月18日 / 最終更新日時 : 2020年12月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 日記帳 この街で暮らして、何十年。 きみと一緒に住みたくて、ぼくはきみの猫になった。 たとえ呼ぶ名がかわっても、ぼくはかわらず幸せだった。 きみと一緒に外が見たくて、今度はきみの犬になった。 けれどもきみは、海を越え、とおく […]
2020年12月17日 / 最終更新日時 : 2020年12月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 手紙箱(140字の短い手紙) 【 それは炎のように 】「涙で薄めたインクで手紙を書くの」そう寂しげに微笑んだあなたのインクは、儚く煌き、とても綺麗だった。 今、手の中にある淡い文字の手紙からは、震えるような呪詛が聞こえて、私はそれを燃え盛る焚き火の中 […]
2020年12月17日 / 最終更新日時 : 2020年12月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 親愛なる我が友へ こんな風に手紙を書くだなんて、なんだか恥ずかしいわ。 でも、思いきって書くことにしました。 ――ねぇフラウ、覚えている? 私は今、あなたと初めて出会った、タナソルの街へ来ているの。あの時は年に一度の星祭りで賑わっていた […]
2020年12月17日 / 最終更新日時 : 2020年12月17日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 この手紙は100%私でできています。 「こうしてあなたに手紙を書くのは初めてでしょうか。いえ、厳密には書いてはいないのです。私は手紙を作っただけですから。そもそも今まで毎日顔を合わせている相手に手紙を出す必要なんて発想はありませんでしたし、あまりあなたは文章 […]
2020年12月17日 / 最終更新日時 : 2020年12月18日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 フライドエンジェル 飼育小屋の鶏を首ちょんぱしているところを担任から咎とがめられたマサヲは、その結果クラスでいじめにあった。 いじめられている事実を両親に相談するなど小学生三年生のプライドが許さず、マサヲは善信おじさんの家に行って相談する […]
2020年12月17日 / 最終更新日時 : 2020年12月16日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 猫 ニャーン ベッドの下で私を呼ぶ声がする。「なぁに? 九郎さん」 布団から頭だけ出してベッドの縁に寄ると、彼はこちらを見上げて、構って欲しそうに鳴いた。 ニャ、「お腹空いたの?」 ニャ、「お布団入りたいの?」 ニャ、 構 […]
2020年12月16日 / 最終更新日時 : 2020年12月15日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 われはいもおもふ 「留守を頼みます」「お任せください、どうかよい夢を」 男爵は女王の額にそっと、しかし名残惜しさを感じさせる程には長く口づけをした。 精進潔斎を済ませた女王は毅然とした表情でひとり橋を渡り、冷たい穴蔵の奥へと消えていった。 […]
2020年12月16日 / 最終更新日時 : 2020年12月15日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 読めない手紙 これは湖に死体が沈む前のはなし。 ルカ・ストルキオ少年は父の仕事の手伝いで、森に点在するシギやライチョウの巣を探し回っていた。抱卵している鳥の数を把握するためである。同時に害獣の痕跡がないかどうかも注意深く観察する。 […]