2020年10月8日 / 最終更新日時 : 2020年10月7日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 残暑お見舞い申し上げます 暑い日差しが降り注ぐ夏の日。近所のスーパーに買い物に行った帰り、ポストの中を見てみると手紙が入っていた。ダイレクトメールとか、そういった類いの物ではない。封筒の柄を見て、差出人を見る前から大体誰からのものなのか察しが付 […]
2020年10月1日 / 最終更新日時 : 2020年10月1日 anthology_ex2 EX2 Webアンソロ「手紙」 かつてわたしの全てだったあなたへ ここはこの街にある唯一の修道院。おれがこの修道院で暮らし始めてからもうだいぶ経った。だいぶ経った時間のうち数年は、とある使命を受けて東の国へと旅立っていたけれども、無事に帰ってくることができた。 東の国から帰ってきてし […]
2019年7月30日 / 最終更新日時 : 2019年7月29日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 薔薇の花を食む 「みんなー、おやつたーべよ!」 良く晴れたある日の事、友人が元気よくそう言って部室である生物室のドアを開けた。「どうしたんだ竜ケ崎。急におやつだなんて」 僕が鞄の中に手を突っ込んでいる竜ケ崎にそう訊ねると、彼は鞄の中から […]
2019年7月19日 / 最終更新日時 : 2019年7月19日 straycat 第9回Webアンソロ「imagine」 藤の花に魅せられて 「みんなー、おやつたーべよ!」 入学式からしばらく経った春の日、後輩がそう言いながら部室に入ってきた。 大きな窓から明るい陽が差す部室に入り、後輩は早速鞄を開けて中に手を突っ込んでいる。「葛西君、おやつって何を持ってきた […]
2019年1月20日 / 最終更新日時 : 2019年1月19日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 身から出た花 その絵を見て、思わず息を呑んだ。 暗闇の中に浮かび上がる白い女性の身体。その胸からは顔よりも大きな白い花が咲いている。身体中に根が張り、唇からは褪せた色の細長い葉が覗いていた。 その絵は確かに、写真では写しきれない […]
2019年1月1日 / 最終更新日時 : 2019年1月1日 straycat 第8回Webアンソロ「花」 菫の牢獄 そこは一筋の光が射す菫の花畑。 周りには誰も居ない。鳥の声も聞こえない。森の中にぽつんとある、紫色の花畑。 ここが一体何なのか、俺にはわからない。わかっているのは、これは夢だと言うことと、夢でしか訪れることのないこ […]
2018年4月16日 / 最終更新日時 : 2018年4月15日 straycat 第7回Webアンソロ「海」 そこは港の街 「港への道を、教えていただけませんか?」 賑やかな街の通りで、通りかかった人の良さそうな方に私はそう訊ねる。にこりと笑ったその人は、街を歩くことに慣れていない私にもわかりやすく、港への道順を教えてくれた。 私はこの街 […]
2017年8月1日 / 最終更新日時 : 2017年8月15日 straycat 第6回Webアンソロ「祭」 臓器籤 二〇一一年の春。大日本帝國は未曾有の災害に見舞われた。本州の半分ほどを揺らす大地震、それに伴う大津波、そして、津波に襲われた原子力発電所が、破損した。 地震が襲ってきた事により、内閣は対応に追われた。そこに追い打ちを […]
2017年1月1日 / 最終更新日時 : 2016年12月31日 straycat 第5回Webアンソロ「嘘」 白百合は踊る 深夜の街中。灯りも消えて暗くなっている宝石店から、こそこそと離れていくふたつの人影が有った。背にはリュックサックを背負い、足早に道を行く。よく見ると宝石店のショーケースのガラスは、粉々に砕けていた。 人影が、道端に停 […]
2016年8月24日 / 最終更新日時 : 2016年8月23日 straycat 第4回Webアンソロ「和」 この素晴らしき難問 「今回はね、『キモノ』を作って欲しいのよ」 ここはとある街の一角に有る小さな仕立て屋。 この店の主人は穏やかで腕が良いと言うことと、納期を決して破らないと言う事で、貴族達からも信頼を得ている。 「失礼ですがアヴェント […]